彫刻家がなぜか作り続けてしまう、謎めいた佇まいに魅せられる
大学の後輩にあたる、横手太紀くんという彫刻家が作ったこの謎めいた壺とは、展覧会で出会いました。彼は、瓦礫の一部が浮いていたり、ゴミ袋がもぞもぞ動いていたりなど、キネティックな彫刻作品を制作するアーティスト。
モチーフはその都度変わりますが、なぜか壺は毎回登場して、彼自身も理由はわからないけれども、作り続けてしまうらしく。だから僕は、この壺を彼の肖像的なものと捉えています。
手びねりなのですが、たどたどしくうねったシェイプやメタリックな釉薬に、水面のような揺らぎを感じて、見ていて飽きないんです。存在感があるのに置き場所を選ばず、和でも洋でも馴染みそうなところも面白い。
正しい使い方なのかわからないけれど、よく花を生けています。子供が初めて描く花の絵のような、ガーベラのシンプルな形が好きなのですが、背の高い方は特に一輪すっと挿すと美しいんですよね。