トラディショナルな素朴さに潜む、繊細で“かわいい”仕事
器選びの基準は、丈夫で日常使いしやすいこと。薄くて繊細だと扱うのが怖いのもあって、武骨だけれどオリジナリティのある歪(いびつ)さや、かわいらしいディテールのあるものに惹かれます。展示会で見て、使ってみたいと思ってオーダーしたこの小鉢は、高校時代に地元の千葉で親しくなった友人、田部井勇太くんの作品。
グラフィックデザイナーから陶芸家に転身した彼が作る器は、昔ながらの釉薬の色やどっしりとした厚みがクラシックなイメージながらも、見たことのない縁のデザインなど、いかつさと繊細さのバランスが絶妙。同じシリーズの小鉢も工業製品的でなく、少しずつ細部が違うところがいいなと思います。
いつも使うシーンを想定せず、旅先でも今買わないと二度と出会えないと思って器を手にすることが多いので、食器棚の中は一貫性なくバラバラですが、自分にとっては“かわいさ”
というのが一つの共通点かもしれません。