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漫才師・粗品が選ぶクラシック。暑い夏、デパートの扉が開いてちょっと涼しかった時に頭に流れる3曲

星の数ほどあるクラシック曲は、聴き方も楽しみ方も人それぞれ。気持ちを落ち着かせてくれる曲から幽体離脱を促す曲まで?クラシック通27人が極めて個人的なテーマで選んだ3曲を一挙に公開します。

Photo: Masanori Kaneshita / Text: Aiko Iijima, Konomi Sasaki, Saki Miyahara / Edit&Text: Emi Fukushima

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ネタ作りにも影響している
クラシック音楽の構成と美しさ

日常の中で、ちょっとだけ「やったー」と思う瞬間に、頭に流れてくる3曲です。1はシンプルなメロディなのに、迫力がある。2は、2019年に行われた『サントリー1万人の第九』というイベントで、生で聴きました。まず合唱の入りで鳥肌が立ち、クライマックスに向けてどんどん盛り上がっていくところでは、あまりの感動で思わず泣いてしまいました。

この2つの曲は壮大で、自分の悩みを小さく感じるようなポジティブな曲。クラシックで一番好きなのが3です。僕の頭の中には、理想とするカノンがあります。前奏は静かにコントラバスだけで入って、サビは特に大事に演奏してほしい。指揮者目線で想像しています。

粗品(漫才師)

さまざまなカノンを聴き比べていますが、演奏する人によって全然違っています。まだ理想とする演奏には出会っていません。今のところ一番近いのがパイヤール室内管弦楽団の演奏ですね。ネタの作り方で、後半尻上がりに盛り上がっていって、演目が終わった後にどれだけ余韻を残すかというのは、クラシックに学びました。

僕たちのネタは、最後に一番ウケるボケを持ってきます。演目終わりの拍手をもらうのではなく、ボケの爆笑で終わりたい。それはクラシックの構成に近いと思います。

1. 「威風堂々」/エルガー

『エルガー:行進曲《威風堂々》』
『エルガー:行進曲《威風堂々》』指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ/演奏:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団/イギリスの作曲家・エルガーによる愛国心あふれる楽曲。デッカ/1,700円(CD)。

2. 「交響曲第9番ニ短調 作品125」/ベートーヴェン

『交響曲第9番 合唱付き』
『交響曲第9番 合唱付き』指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/歌:エリザベート・シュワルツコップ(ソプラノ)/演奏:バイロイト祝祭管弦楽団ほか/ワーナークラシックス/3,000円(CD)。

3. 「カノンニ長調」/パッヘルベル

『パッヘルベルのカノン〜バロック名曲集』
『パッヘルベルのカノン〜バロック名曲集』指揮:ジャン=フランソワ・パイヤール/演奏:パイヤール室内管弦楽団/1968年にパリのリバン聖母教会で演奏された楽曲を収録。エラート/1,000円(CD)。

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