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語る音楽家、語られる音楽家:石若駿→ペドロ・マルチンス

ジャズドラマー・石若駿さんが語る、ペドロ・マルチンス。

text: Yoshihumi Takeda / coverage,text: Katsumi Watanabe

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石若駿が語る、ペドロ・マルチンス

新しい音楽とは、SNSのタイムライン上で出会うことが多い。友人知人のリコメンドも楽しいけど、まったく知らない音楽家が、素晴らしい音源や動画を上げていた場合には、すぐにフォローして、DMを送るようにしています。

今回、紹介したいブラジルのジャズギタリスト、ペドロ・マルチンスを初めて知ったのもSNS。個人的に大好きな世界的ジャズギタリスト、カート・ローゼンウィンケルが自身の新作『Caipi』を発表する告知動画で、ペドロをギタリストとして紹介していて。演奏が始まるや、彼はなんとギターを弾きながら歌いだしたんです。

ポップスなら弾き語りは珍しくない。でもジャズの場合、ギタリスト(各パートの演奏者)は演奏をまっとうするため、自ら歌うことなんてほとんどありません。しかも『Caipi』でペドロが9曲も歌っている。ギターの超絶テクニックや、さまざまなカラーのボイシングといった唯一無二のサウンドを持つ人が、ボーカルも担っているなんて。ペドロ以前にはあまりいなかった音楽家の登場に、心底驚かされました。

ペドロ・マルチンスのイラスト

『Caipi』のバンドに参加していたフレデリック・ヘリオドロ(B)やオリヴィエ・トランマー(Key)らも、自ら歌うプロジェクトもあって。新しいジャズの潮流をリアルタイムで見たと感じました。

ペドロはSNSで新しい音源や演奏動画をアップし続けており、今も常にチェックしています。女性シンガーのジェネヴィェーヴ・アルターディと結成したエクスペンシヴ・マグネッツでは、2人だけであらゆる楽器の演奏を録音、映像まで編集。2021年末に、ペドロがギター一本でラヴェルの「弦楽四重奏曲」を演奏する動画も最高でした。

彼の活動にはチャレンジ精神が強く、刺激と感動をもらっています。本当に共演してみたいので、次回の来日公演が決まったら、DMを送って会いたいなと思います。

石若駿が選ぶ3枚

*4月1日発売BRUTUS959号のP.107にて掲載されている本連載にて、一部誤りがございました。お詫び申し上げます。本ウェブ記事は修正済みの内容を掲載しております。

(誤)それ以降『Caipi』に参加していたアントニオ・ロウレイロ(Per)やフェリペ・ヴィエガス(Key)らも、歌い始めていて。


(正)『Caipi』のバンドに参加していたフレデリック・ヘリオドロ(B)やオリヴィエ・トランマー(Key)らも、自らの歌のプロジェクトもあって。

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