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名古屋・大須〈Diorama Clothing Store〉音楽の話ができる専門店へ

BGMがひとクセあったり、オーディオ機材が通好みだったり。店内で「これは……」と感じた点と点をたぐり寄せると、音楽好きの店主に出会えることってありませんか?古道具店、インテリアショップ、ギャラリー、骨董品店、フラワーショップ、古着屋と、全国各地の専門店を訪ねて、音と空間の在り方について伺いました。

Photo: Keisuke Fukamizu, Masanori Kaneshita / Text: Neo Iida

バンドTシャツが教えてくれる
新しい音楽との出会い

地元の古着店はカルチャーの入口だ。一枚のTシャツに、どんな歴史があって、誰が着て、どんな音楽シーンと結びついているか。店長の知識と経験を浴びて学ぶ、チュートリアルステージのような場所。大須にある大橋知哉さんの古着店は、まさにそんな存在だ。

学生時代はカリフォルニアパンクやエモを聴いていた、メロコア世代。大須で働くようになってからは音楽の趣味が多様化し、古いロックからエレクトロやダンスミュージックまで幅広く聴くようになった。買い付け先のLAでは、時間を見つけてはライブハウスに足を運び、本場パンクシーンの洗礼を受ける。

音楽が暮らしと密接に関わる西海岸では、現地の音楽マニアの情報が鍵になる。袖をカットオフしたインディーパンクバンドCherry BombのTシャツは、元ミュージシャンだという専門店店主が教えてくれたものだ。

Tシャツを通じて音楽を知ることだってある。「前に“バンドのことをよく知らない人たちに、Tシャツだけを売るなんて”と言われて悩んだことがあるんです。でも僕は、買ってから音楽を知ってもいいと思う。そのきっかけになればなと」

名古屋〈Diorama Clothing Store〉店内
かつてバンドTシャツを扱う店が少なかった大須で、いち早く在庫を持っていたのが前オーナーが営む〈CRUNCH〉だった。大橋さんはその精神を引き継いでいる。

2021年4月、久しぶりにLAを訪れると、彼の地ではバンドTシャツの値段が高騰していたという。セレブが着たことで話題になり、価値が上がったようだ。それでも根気よく探し続け、Weezerやデヴィッド・ボウイ、ベックなどのTシャツを持ち帰ってきた。ここからまた、音楽の扉が開かれていく。

PLAYLIST

1:Don't Leave Me This Way / STARMARKET / 『FOUR HOURS LIGHT』
2:Typical / MUTEMATH /『MUTEMATH』
3:Even Flow / PEARL JAM / 『TEN』
4:Once In A Lifetime / TALKING HEADS / 『REMAIN IN LIGHT』
5:Devils Haircut / BECK / 『ODELAY』
6:Ur A Piece Of Shit / ALI BARTER / 『HELLO, I'M DOING MY BEST』
7:The City / JOCKSTRAP / 『WICKED CITY』
8:Five Fathoms / EVERYTHING BUT THE GIRL / 『TEMPERAMENTAL』
9:Darktown Figures / ANDREW WEATHERALL / 『QUALIA』
10:Race For The Prize / THE FLAMING LIPS /『THE SOFT BULLETIN』
11:Swings & Roundbouts / FARRAH / 「SWINGS & ROUNDABOUT」
12:Thank You / DESCENDENTS /『EVERYTHING SUCKS』