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村上春樹の私的読書案内『ボブ・ディラン全詩302篇 LYRICS 1962-1985』

村上春樹が自宅書棚から選んだ、手放すことができない51冊の本。私的な読書案内文と共に。

photo: Keisuke Fukamizu / text: Haruki Murakami

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『ボブ・ディラン全詩302篇 LYRICS 1962-1985』

23年を隔てた新旧ディラン。

この本がカバーしているディランの曲は1962年から1985年までだから、「全詩」といっても、そのあとに作られたものは収められていない。でもまあ、1985年あたりまで収められていればだいたい十分ではないか……と言ってもいいのかなあ。

本書に収められた最初の歌は、処女アルバム『ボブ・ディラン』の「ニューヨークを語る」、最後の歌がアルバム『バーレスク帝国』の「黒い瞳」。23年を隔てた新旧ディラン、変わっているようで変わっていない。変わっていないようで変わっている。

ディランはギターひとつ提げてNYに出てきて、苦労を重ねた末、グリニッジ・ヴィレッジでようやくハーモニカを吹く仕事を見つける。「一日一ドルのために肺をすりへらした体が裏返り、ひっくりかえるまで吹いた」(「ニューヨークを語る」)

『ボブ・ディラン全詩302篇 LYRICS 1962-1985』ボブ・ディラン/著

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