『Rule of the Bone』
バンクスは僕が最も高く評価する現存作家の一人だ。
ラッセル・バンクスとは一度、食事の席で話をしたことがある。ニューヨークの作家の集まりに招待され、昼食会のテーブルの席がたまたま彼の隣だったのだ。
そこで彼に『Rule of the Bone』が大好きだと言ったら、とても喜んでくれた。今度近くに来たらうちに寄ってくれよ、と住所を書いた名刺をもらった。まだ行ってないけど。とにかく、バンクスは僕が最も高く評価する現存作家の一人だ。文章の締まりがいい。
『Rule of the Bone』は14歳の少年が主人公、義父の虐待から逃れて家出をする。そして偶然出会った不良バイカー少年と知り合い、「ボーン」と名前を変え、いっぱしのドラッグ・ディーラーになる。孤独なドロップアウト少年を主人公にしたピカレスク・ロマンであり、そういう意味では『ハックルベリー・フィンの冒険』や『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の系統に属するとも言える。
前半が彼がアメリカでタフになっていく物語、後半が実の父を求めてジャマイカに渡る話になる。とにかく飽きさせずにページをめくらせる業は、さすがにバンクス。