『完訳フィッツジェラルド伝』
僕はいまだにいろんな調べ物の際に、この本を使わせてもらっている
スコット・フィッツジェラルドの作品翻訳は、長い歳月をかけてようやく出そろってきたみたいでめでたい限りだが、しっかりとした彼の伝記を現役で手に入れることがむずかしいという状況は変わらない。
アンドリュー・ターンブルの書いたこの伝記は、1962年に刊行されたもので、その後に少しずつ新しい資料が出てきたから、学術的見地からすればいくぶん情報の鮮度は落ちているかもしれないが、内容そのものは優れており、専門の研究者ならともかく、一般の読者が手にとるには何の不都合もないはずだ。
筆者の視点は公平・公正だし、実証も確かだ。また「学術臭さ」みたいなものともほぼ無縁で、読み物としても十分楽しめる。僕はいまだにいろんな調べ物の際に、この本を使わせてもらっている。
今現在、この本がどの程度流通しているのか知らないが、できることならどこかの出版社に文庫化してもらい、簡単に手に入るようにしてほしいのだが……むずかしいのかな?
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