『殺戮へのバイパス』 ほか
田中小実昌訳による早川ポケミス全12冊
田中小実昌さんが訳したミステリー本を買い集めている。
僕は田中小実昌さんの翻訳が好きで、古書店を回って、彼が訳したミステリー本を買い集めている。主にハヤカワのポケミスだ。小実昌さんの訳の素敵なところは、文章が気取っていないところだ。とてもわかりやすい読みやすい文章で、話をどんどん先に進めていく。だからすらすらと読める。ためしに原文と照らし合わせてみると、むずかしい箇所がしっかり訳せているのに、簡単な箇所がなんかちょっと違っていたりする。そのあたりもいかにもコミさんらしいというか、人柄かもしれない。
僕が持っている12冊のうち、5冊がA・A・フェア(E・S・ガードナーの別名義)、チャンドラーとスピレーンが2冊ずつ。コミさんの訳すA・A・フェアは、読んでいて本当に楽しい。でもたぶん生活のために翻訳をされていたのだろう、作家となってからはすっかり翻訳が出なくなってしまった。