蓋をした自分の醜い感情を
思い出したいから
僕が小学6年生だった2000年の公開当時、少年犯罪が立て続けに起きていた背景があって、『バトル・ロワイアル』は国会でも議論されるほど社会現象になっていました。犯罪を助長するんじゃないか、とか言われたりしていて。
でも、国が「見せちゃダメだ」なんて言う映画、それ以上の宣伝文句はないでしょ。絶対観たいと思ったけど、R15指定だったのでさすがに映画館には行けず。原作小説と漫画版を読んで期待を高ぶらせながら、結局は中3くらいの時にVHSで観ました。
これを規制しようとした大人たちの気持ちもわかります。中学生同士が殺し合いをさせられる展開はグロテスクで最悪。ただ、監督の深作欣二さんは少年時代に戦争を経験した人で、大人が起こした戦争によって子供たちが殺されてしまう気持ち悪すぎる悲劇を、「BR法」という設定を通して見せているんです。コンテンツ一つで観るものの価値観に揺さぶりをかける創作姿勢は、今の自分にも完全につながっている。
怖いのは、この映画の状況を自分に当てはめた時に、5%くらいはワクワクしたこと。普段蓋をしている、攻撃性とか醜い欲望を露わにされてしまって。その危うさを思い出すために、何度も観返しています。