理解できない美しさがあって
もっと知りたくなるから
私は割と沼にハマりやすいタイプで、好きな映画に出会ったらとことん繰り返し観てしまうんです。『花様年華』は5、6回観ているんですけど、実は今年の初めくらいに出会った映画で。ウォン・カーウァイ監督の作品には独特の美学があって、一度観ただけでは理解できない部分が多くある。だからこそもっと知りたくなります。
お互い結婚相手に浮気されてしまった主人公2人が徐々に親密になっていくあの関係性も、「恋」と呼んでいいのかわからない、絶妙な男女の絆が垣間見えて。それを役者のお2人が目線や細かい仕草で丁寧に表現されているんです。
今年の夏にこの映画が4K版で上映されると知った時には超興奮しました!かなり気合が入って、映画館に行く予定を立てた1週間前に配信で1回観て、直前にももう1回観て。スクリーンでこそ感じられる要素をなるべく増やしたいと思ったので、物語に対しての疑問が湧かないように自分の解釈を固めてから臨んだんです。そしたらもう……主演のトニー・レオンさんがスクリーンに大きく映っただけで「はっ……」って息が止まっちゃいました(笑)。
チャウとチャンが階段ですれ違うスローモーションのシーンが特に好きで、日常生活でもゆっくり動いてみたり、真似しちゃうくらい。映画内に流れる音楽でプレイリストを作って、聴きながら生活を送ったりもしています。こんなふうに繰り返し観たくなるような映画を私も作れたらいいなって、憧れを抱きながら。