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モードな虫図鑑。甲虫界の超一大メジャーグループ、コガネムシ8種類を紹介

ギラギラ、トゲトゲ、モジャモジャ……。なにゆえに自然の摂理とやらは、こんなにも奇妙なデザインの昆虫たちを生み出したのか。人知を超えた造形美を、まずはとくとご覧あれ!
標本制作/福井敬貴

Photo: Tetsuya Ito / Text: Shogo Kawabata

Scarabaeidae(コガネムシ)とは?

コガネムシというと、日本ではある一種の虫の名前のように思われているが、実はカブトムシもハナムグリもクワガタも、コガネムシの仲間。そんなスター揃いのコガネムシの中から、比較的マイナーながらも、ユニークな個性を発揮している種を紹介。コガネムシの多様性、スゴイ。

マッシロコガネ
Cyphochilus insulanus

マッシロコガネ
ラオスに分布する、「地球上で最も白い生物」の一つに数えられるシロコガネの一種。その白さの秘密は、全身を覆う鱗片が様々な波長の光を等しく反射するナノ構造になっていることにある。標本体長30㎜。

カツラクワガタコガネ
Pukupuku katsurai

カツラクワガタコガネ
まるでクワガタの大顎のような頭角を持つクワガタコガネの仲間。その種小名(学名の後半につける名称)は標本商であった故・葛信彦氏へ献名されたもの。丸い体と分岐する角が特徴的。中国産。標本体長23.5㎜。

ライオンコガネ
Sparrmannia flava

ライオンコガネ
ナミビアの半砂漠環境に生息する毛むくじゃらのコガネムシ。昆虫には珍しいたてがみのような長毛は、寒暖差の激しい砂漠環境へ適応するためではないか、といわれている。標本体長23㎜。

インカツノコガネ
Inca clathratus

インカツノコガネ
中南米に分布するトラハナムグリの仲間。写真はペルーで採集された原名亜種。胸部に隈取り模様、鞘翅には星空のようなドット柄が入る。また二股の頭角の中央部にはオレンジの毛が生える。標本体長50.5㎜。

パリーテナガコガネ
Cheirotonus parryi

パリーテナガコガネ
タイ北部〜ミャンマーなどに分布する、前脚を武器として発達させた大型のコガネムシ。中でも、このパリーはトゲ状の突起が長く直線的に発達するため、なかなかコワモテな印象に。標本体長63㎜。

トゲヒレアシハナムグリ
Pseudochalcothea pomacea bawangensis

トゲヒレアシハナムグリ
カリマンタンに生息するエグリハナムグリの仲間。後脚脛節から伸びる、鋭い突起が特徴。まるでエアロダイナミクスに基づいて設計されたような流麗なフォルムも魅力。標本体長25.8㎜。

リンバータプラチナコガネ
Chrysina limbata

リンバータプラチナコガネ
コスタリカの湿度の高い雲霧林に生息。プラチナコガネの仲間でも特に光沢が強い種。鏡のように体に周辺の景色を映し込み、光学迷彩のような効果を得ていると考えられている。標本体長23.5㎜。

クラバータカメノコブイブイ
Macraspis clavata

クラバータカメノコブイブイ
ブラジルに生息する、巨大な小楯板を持つカメノコブイブイの一種。玉虫色の金属光沢を持つ体と、ウッド調の風合いの鞘翅のコーディネートがなんとも洒落ている。標本体長26.8㎜。