生誕100周年を記念した特別展示が開催
妖怪という存在は、かつては畏怖の対象だったが、今ではすっかり子供たちの人気者になっている。そんなふうに妖怪たちのイメージを大きく変えてしまったのが、漫画家・水木しげるだ。『ゲゲゲの鬼太郎』をはじめとした数々の人気妖怪漫画で人々に妖怪の面白さと不思議な世界を伝えてきた水木しげる。
その生誕100周年を記念した『水木しげるの妖怪 百鬼夜行展〜お化けたちはこうして生まれた〜』が、六本木ヒルズ森タワーの東京シティビューで7月8日(金)から開催される。
今回の展示では、水木しげるの妖怪画100点以上のほか、水木氏自身が所蔵する妖怪関係の資料が公開される。そうした資料を通して、妖怪たちが生まれたバックグラウンドに触れることができるというわけだ。
「天空の水木しげるロード」と題されたエントランスでは、出身地である鳥取県境港市に並ぶブロンズ像と同じ妖怪たちが出迎えてくれる。また、東京を一望できる窓には妖怪たちの名を記した提灯が灯り、異界へと誘う。また、“妖怪カメラAR”でエントランス内に隠れている5体の妖怪と記念写真を撮影できるイベントも。
展示は4章立てで構成されている
第1章は「水木しげるの妖怪人生」。自伝的エッセイ『のんのんばあとオレ』で語られているように、幼少期に近所の“のんのんばあ”からお化けの話や不思議な話を聞いた地元・境港時代から、左手を失う大怪我をしたラバウル従軍時代、そして貸本漫画家から人気漫画家へ上り詰めた時代と、水木しげるの人生を追うことで、妖怪たちを生み出すに至った背景を知ることができる。
第2章は「古書店妖怪探訪」と題して、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』や柳田國男の『妖怪談義』など、水木しげる所蔵の妖怪関連書籍を展示。
第3章の「水木しげるの妖怪工房」では、妖怪画の創作方法を「絵師たちから継承」「様々な資料から創作」「文字情報から創作」の3つに分けて掘り下げており、独特の妖怪のビジュアルのルーツを探ることが可能だ。
そして、第4章「水木しげるの百鬼夜行」では、「山」「水」「里」「家」でカテゴリーを分け、それぞれに潜む妖怪の原画をずらりと展示する。隅々まで精緻に描き込まれた原画を心ゆくまで鑑賞できるのでファンにはたまらないはずだ。
会場にはコラボレーションカフェ「妖怪の森Cafe」が期間限定でオープンしており、ユニークな妖怪メニューを楽しむことも可能。妖怪の世界の余韻を味わってから現実世界に戻ろう。
展覧会に行く前に読んでおきたい水木しげる本3選
水木しげるファンも、初めて水木しげるに触れる人も、展覧会に行く前に著書を読んで予習しておけば、もっと妖怪の世界を楽しめる。ここでは、そんな水木しげるの必読書を編集部が厳選してご紹介。