国を持たない世界最大の民族の、文化を守り伝える
トルコ南部の生まれで、マレーシア留学を経て2009年に親戚がいる東京に来ました。トルコ、イラク、シリア、イランにまたがって住むクルド民族は国を持たず、約2000人のクルド人が日本にいます。日本にあるトルコ料理レストランはクルド人オーナーが多く、実は料理もほぼクルド料理。だから2017年にクルドの文化を伝え、クルドの料理をきちんと出せる店を作りました。
今は東京外国語大学でクルド語を教えたり、メディアや官公庁の人、お客さんにクルドのことを伝える仕事も増えました。日本クルド文化協会の事務局長もしています。クルドがテーマの映画『東京クルド』や『マイスモールランド』が作られ、クルド語学習者も増え、活動は実を結んでいます。
クルド語を学ぶ人たちとクルドの言い伝えや詩を日本語翻訳して、私も川端康成の『雪国』をクルド語に訳しました。クルド語の辞書や教科書も作ったんですよ。
クルドのことをもっと知ってもらいたい。店はその窓口で、おいしいご飯もぜひ食べてほしいです。
メソポタミア(十条)
店内は現地から持ち込んだランプやラグで彩られ、クルド関連の資料も充実。客の大半は日本人で、クルド文化や歴史に興味を持って来店。コロナ収束後は「クルドツアー」も行いたいと考えている。