レバー
赤い内臓にはゴマ油をまとわせて。
高山さんは火の上の高温ゾーンを3秒刻みで返しながら移動させる“お散歩焼き”でプリッと。松浦さんは表面に焼き目をつけたのち両端の低温ゾーンで内部まで温めしっとりと。「レバーは鉄板に最もくっつきやすい」(松浦)ので、焼く前に余分にゴマ油をもらい、表面に膜を張るのは2人共通。臭いを和らげる効果も。
タン
薄切り:肉質によって焼き方を変えるべし。
適度にサシの入った薄切りタンは「焼き色をつけずに何度も返し“白く”焼く」(高山)。松浦さんも「上質なタンの薄切りなら同意。臭いが気になるUS産は、表面を香ばしく焼いて臭みが出ないようマスキング」。
千切りのネギが付いてきたら、ネギ側を下に焼き、肉に間接的に火を通して軟らかく仕上げるのが高山流。
厚切り:厚切りには“待つ胆力”が必要。
「厚切りは待つ料理」とご両名。高山さんは厚みをトングで整えつつ全体に弾力が出るまで焼く。松浦さんも両面に焼き目がつくまでじっくり。そして、2人とも一度皿で休ませる。「表面がしっとりしたらOK。最後に火の上の高温ゾーンで温めて」(松浦)。マンゴーのように切れ目が入ったタイプは切れ目の面から焼く。
ホルモン(腸)
豚には優しく、牛なら厳しく。
写真は豚ホルモン。脂が少なく皮(腸壁)が軟らかいので、中火で優しくふっくらと焼くイメージ。一方牛ホルモンは脂が厚いうえ皮が硬く噛み切りにくいので、水分を抜くようにじっくり焼く。「本来炭火向きで、鉄板で水分をしっかり飛ばすのは至難の業ですが、ロースター中央で、皮目8:脂2で焼いて」(松浦)
カイノミ
厚切り肉は“90度回転”がコツ。
バラ肉と赤身肉のいいとこ取りのようなカイノミ。厚切りは、タン同様トングで厚さを整え、ステーキのように焼く高山さん。ひっくり返す際は、水平に90度回して全体にまんべんなく熱が行き渡るように。焼き色がついたら、お皿で少し休ませる。塩味の肉でも、タレを少しつけると味に奥行きが生まれる。
カルビ
並カルビ:焼肉の王道部位の最適解は?
カルビは“白身”だが、脂がありつつハラミのように繊維が強い並カルビなら「序盤は鉄板中央で内部の脂を軟らかくするように。最後に高温でガツンと焼き香りを出す」(高山)。松浦さんは「厚みのない肉は火の真上で一気にガッチリと焼き込む。メイラード反応(加熱でアミノ酸と糖が結びつく反応)で旨味増幅」
上カルビ:
胃もたれ無縁の軽やかさの秘訣。
「もたれる」と避けられがちなカルビは、難易度の高い部位。特にサシの多い上カルビ(タテバラ)は「熱は入れるけど色はつけない。“焼く”と思わず、何度も返して脂を弛緩させ、側面を白く」(高山)。仕上げに、火の真上で片面だけ焼き色をつければ、カルビの脂が若干苦手という松浦さんも「これは軽〜い!」。