中国料理 四川(白金台)
ホテルオリジナルの麻辣醤と県豆板醤が味の決め手。
「食べている途中で舌と唇が痺れてしまいますが、ノドでその旨さを感じられる稀有な一皿」(大木)。豚挽き肉を油に透明感が出るまでじっくり炒め、長期熟成の郫県豆板醤と旨味たっぷりの麻辣醤で味を調え、赤みの強い四川花椒で仕上げた陳麻婆豆腐は、麻辣味の奥に複雑な旨味が潜む。豆の豊かな風味と滑らかさを持ち合わせた木綿豆腐とのバランスも良い。
痺:★★ 辛:★★
川香苑(新宿)
辛さ控えめ、食欲をかき立てる香りの良さが人気の秘密。
「辛いだけの麻婆豆腐は作りません。うちは香りで勝負」とオーナーが言い切る通り、辛さは後味に感じる程度。だが、四川省から直接取り寄せている香辛料によって、深みと旨味は確かに存在する。辛いものは苦手だが、本格的な四川料理を楽しみたい人におすすめ。さらに、「ごちゃっとした店の雰囲気がいかにも本場の味という気分にさせてくれる」(今清水)。歌舞伎町に入ってすぐの小さな店舗はいつも満席だ。
痺:★ 辛:★
神楽坂 芝蘭(神楽坂)
思い出したら無性に食べたい、メリハリのある麻辣味と旨味。
神楽坂で4年。いまも不動の人気を誇る看板料理。「ラー油は一滴も使わず、煳辣粉と山椒の粉末、自家製山椒油で仕上げた麻婆豆腐は、パンチのある香りと痺れが持ち味。豆板醤や豆豉の濃厚なコクとメリハリある塩味が、ボイルして豆の風味を閉じ込めた豆腐に絡んで、後引く旨さ。余韻に残る痺れも心地よい。自家製山椒油が味に奥行きを持たせ全体の旨味を引き立てます」(森脇)。
痺:★★ 辛:★★
中国四川料理 梅香(神楽坂)
豆腐のおいしさを実感するすっきりキレの良い味わいを。
辛味は瞬発力のある鷹の爪、口の中を洗い流すような爽やかな香りは四川の花椒。旨味のベースは金牛賓館豆板醤。師匠である趙楊さん譲りの素材を使い、直伝のレシピをベースにしながらも、微妙なさじ加減の工夫で女性シェフらしい繊細な印象に。「辛味刺激もしっかりあるのに、全体にやさしい味わい。豆腐がおいしく感じられます」(小川)。
痺:★★ 辛:★★
直城(高輪台)
絶妙なバランスの味つけが、香ばしく上品な口あたりを演出。
「体に優しく、辛さが苦手な方にもおいしく味わえるメニュー」が店のモットー。香ばしい麻婆豆腐は辛さも痺れもしっかりとあるが、ポイントは“強烈すぎない”さじ加減。まろやかで甘味のある絹ごし豆腐と上質な豚ロース肉、ブレンドした自家製豆板醤、さらに四川省直送の花山椒の香りが相まって、「辛味、香り、旨味の全体のバランスが良い」(牧元)。計算し尽くされた上品な味わいに脱帽。
痺:★★ 辛:★★
蜀郷香(四谷三丁目)
辛さと痺れを突出させず、豆腐と豆板醤を味わう料理。
毛湯(鶏ガラスープ)で水分を抜いた豆腐に、四川で調達する郫県豆板醤ベースの味を含ませる。ラー油ではなく鷹の爪と花椒を炒めた辣粉で、豆板醤の香り、甘味、コクを引き出し、仕上げに山椒油を一回し。「辛味の香りと豆豉のコクのバランスが後を引く」(森脇)。調理はすべて弱火で。豆腐の甘さと豆板醤の旨味を、角のない柔らかな辛さが包み込む。
痺:★ 辛:★★