お取り寄せ四天王に聞いた、地球最後の日に食べたい一品。〜後編〜

（商品アイテムを見て）え、酒井さん、タンシチューなの⁉

最後に食べたいものというと、おふくろの味方向に行くんですけど、皆さん、そうではないんですね。子供の頃、母の作ってくれるタンシチューが好きでして。

しゃれた家ですね。ビーフシチューは作ってくれましたけど。タンとの出会いは、大人になってからでしたよ。フジテレビが河田町にあった頃、近くの〈ギャルソン〉という焼肉屋のタン塩が始まりだった。

タンはよく家庭料理に使われていたので、洋食屋さんに行くとつい。赤坂に支店のある三重の〈東洋軒〉がお取り寄せをしていたんです。

おいしい。

すごくおいしいんだけど、地球最後の前の日となると、どうなんだろうと思ってしまう。

あ、「お母さーん」と思う。

酒井家はハイカラな家だったんですね。

タンって昭和の味ですよね？

シーン。

また、賛同が得られない。

このシチューあっさりしてますね。おいしい。これはパンと？

いえ、ご飯と。

デミグラスが濃すぎず、ちょうどいい。ご飯はお皿にのせて、ナイフ、フォークで？

そんなしゃれた家ではないです。ご飯はお茶碗で。ご飯にソースを絡めながら食べてました。

余裕を感じるなぁ。

その言葉、悪意を感じる。いい話だったのに（笑）。おやつは〈とらや〉の御膳汁粉。これも子供の頃の話になるんですけど。

やっぱり、いいとこの子だ。

家では粒のある田舎じるこを食べてたんですけど、初めて御膳しるこを食べた時、世の中にこんなにおいしいものがあるんだと衝撃を受けたんです。その時の好印象が今もずっと続いている。その時の店は、東急文化会館の〈立田野〉でした。

懐かしいなぁ。僕、中学の時、そこの前で悪さしてた。

やさしい味ですね。

甘いけど爽やか。

その言葉がぴったり。

常に帝（みかど）とともにおられる〈とらや〉さんなので、まさに御膳（御前）ということで。最後の最後は、京都〈賀茂とうふ 近喜〉の油揚げ。焼いて、上に山のようにネギをのっけて、お醤油をちょろりと。

これ、買いたい。

私、このお揚げが、年間お取り寄せ最多です。子供の頃は油揚げが好きじゃなかったんですけど、大人になってから、こんなおいしいものが世の中にあったのかと悩殺されまして。最後に思う存分食べたいと。

前日に食べたいものが〈いったつみとらどう〉のの白わらび餅。前夜にお菓子ってどうなの？と思われたかもしれませんが、気持ちが塞ぐじゃないですか。ココナッツのわらび餅なんですけど、これ食べたら、ちょっと楽しくなるかもと。

思いきり落ち込んでるんだ。

あんまり食欲もないだろうし、甘いものでも食べて元気になろうと。

こちらはウナギやタンなのに（笑）。でも、リアリティある。

やさしい味で癒やされる。

これなら走れる（笑）。

栄養もあるから、翌日も生きていける。

それから、〈UCAV（ユーセーアーヴェー）〉というマニアックなお店のマカロンを。月に4日しか開けないお店なんです。ものすごくこだわって作っていて、大きさもちょっと大きいのはフランスサイズに合わせてのこと。

バタークリームの中央に、ジャムや塩キャラメルを挟んであるのが楽しい。

キャラメルサンドが有名なんですけど、皮も軟らかくて、フィリングがたっぷりで濃厚です。

まだまだ生きようとしているような（笑）。

最後は楽しく、ね。

最後の日にお店の行列に並んで、隣の人と「ねぇ、どうなるのかしら」なんて話してたり（笑）。

それから最後は米です。佐賀の武雄温泉の〈竹林亭〉という旅館で出てくるご飯。〈橋口米屋〉の佐賀県産上場こしひかりです。

（お茶碗に入ったご飯を見て）まさに、仏様（笑）。

卵かけご飯を食べたいね。ご飯、おいしい。

僕は目玉焼きをのっけたい。

日本人として最後はご飯で。

今回の企画、本当に人間性が出たと思う。秋元さんの人生の締め方は美意識高かったなぁ。自分はすごく情けない結果だった。

みなさん、おふくろの味方向に行かないのが不思議でした。

一応、それも考えたんだけど、母の味はお取り寄せできないから。

僕は人生最大のフェスティバルは炭水化物祭りだと思ってたんですが、意外と少なかったですね。

秋元さんのそうめんと焼いた油揚げを合わせたら、おいしそう。

今回、本当に選ぶのが難しかった。真剣に取り組みましたよ。

いずれにしても楽しい企画でした。これから復習に入ります。

で、皆さん、次は何をやりましょうか（笑）。