Read

Read

読む

ラランド・ニシダの愛すべき純文学:フリオ・コルタサル『夜、あおむけにされて』

ラランド・ニシダがおすすめの純文学を紹介していく連載。前回の「太宰治『葉』」を読む。

edit&text: Emi Fukushima

連載一覧へ

フリオ・コルタサル『夜、あおむけにされて』

フリオ・コルタサル著。『コルタサル短篇集 悪魔の涎・追い求める男』
フリオ・コルタサル著。『コルタサル短篇集 悪魔の涎・追い求める男』に収録。岩波文庫/858円

どちらが夢で現実か。主人公とともに欺かれる

先日番組でご一緒した編集者の九龍ジョーさんにいただいたのが、アルゼンチンの作家フリオ・コルタサルの短編集。中でも好きだったのが本作です。オートバイに乗った主人公が事故に遭うシーンから始まる冒頭。病院に運ばれ治療を受ける彼は、うつらうつらしながら古代王国で人間狩りをする戦士から逃げ惑う夢を見ます。

そして2つのシーンが交互に展開し、次第にどちらが夢で現実か、その焦点を見失っていく。筋書き自体はよくあるものですが、グッときたのはシーンの切り替わり方。匂いや味など、五感をきっかけに展開するところが斬新で好きなんですよね。さらにどちらのシーンも描写が極めてリアルなので、読んでる側も揺さぶられる。結末にも痺れました。

普段は夢をあまり覚えていない僕自身も、つい最近現実と錯覚するリアルな夢を見ました。その最中でも、普段のようにテレビかライブかでお笑いの仕事をしていて。でも目覚めてからよく考えてみると、相方はサーヤさんとは全くの別人だったなと。なぜその時に気づかないのか不思議です。

あと怖いのが溺れる夢。深い海に沈められて息ができなくなる夢を以前よく見ていたんです。でもおそらくそれは肥満に起因する睡眠時無呼吸症候群のせい。さるドッキリ企画で無理やり痩せさせられた今はあまり見なくなりましたね。ある意味けがの功名です(苦笑)。

連載一覧へ