中村製餡所(西陣)
つぶあん派なら新作の
丹波大納言がお値打ちです。
明治41(1908)年の創業以来「徹底した素材選びと、塩も含めた添加物は入れないこと」をモットーにあん一筋の老舗。「基本は卸売りですが、ご近所の方が分けてと売り始めたのが50〜60年前のこと」と4代目の中村吉晴さん。
そのまま現在に至り、商品は軒先に並べるだけの潔さに気分も上がる。なかでも注目は、コロナ禍を機に昨年末登場した丹波大納言のつぶあん。豆の力強さを感じる丹波か、繊細な北海道か、食べ比べる楽しみも加わった。もなかを作る前にまずはひと匙、あんだけを味わってから楽しみたい。
祇園饅頭 工場(岡崎)
蒸し上がる湯気の香りに心弾み、
気取らないおやつに手が伸びる。
屋号の通り祇園・南座横に店を構える〈祇園饅頭〉から、白川に沿って15分ほど歩けば〈祇園饅頭 工場〉へ辿り着く。午前中ならその距離を押してもなお工場へと思うのは、外まで漂う甘い香りに鼻をくすぐられたいからだ。創業は文政2(1819)年。戦後になってかつての住居を工場にした。
「地下鉄が通って前を通る人が増えて、その頃から前で売るように」と6代目の林純一郎さん。つまり直売は2000年頃から始まった。「今ではこっちの方が売れるくらい」の言葉に、工場で買う魅力を知った人の多さを思う。