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自らの“声”に耳を傾け、思いを乗せる。窪田正孝がドラマ『モダンラブ』の声優を演じて考えたこと

今年公開だけでも4作の映画に出演、さらには2023年にも主演映画が控えるなど、その活動からますます目が離せない俳優の窪田正孝さん。そんな彼が今回挑戦したのが、アニメーション作品の声優。「僕は声で演じるプロではない。そして、現場で相手と作り上げるドラマや映画とも違う。そんな中で、役者としての経験をどう生かせるのか。この作品を通して二者の違いについて深く考えることになりました」と語る彼が、新境地として“声”に込めた思いとは。

photo: Keta Tamamura / hair & make: Masaki Sugaya (GÁRA inc.) / styling: Yonosuke Kikuchi / text: BRUTUS

役者として“声”で演じるということ

窪田正孝
ジャケット81,400円(シュタイン/エンケルTEL03-6812-9897)、シャツ28,600円(アンセムエー/エンケル)パンツ41,800円(シュタイン/エンケル TEL:03-6812-9897)

2019年にアメリカで製作されたドラマ『モダンラブ』。今回は舞台を東京に移し、多様な恋愛を全7エピソードで描いている。同シリーズで初のアニメーション作品となったのが、「彼が奏でるふたりの調べ」。窪田正孝さんは、主人公の珠美(声:黒木華)がかつて恋をした同級生・凛を演じた。

「僕が演じたほとんどのシーンが過去の回想。それもお互いに思いを寄せ合う少女と少年がうまくいかなかったというストーリー。一番意識したのは、彼女の記憶の良い部分になろうとはしなかったことです。僕側にその記憶が良いか悪いか決めることはできない。だから声で、主人公が様々な解釈をできる幅を持たせたかったんです」

今作の現場では、主人公の声優を務める黒木華さんとは、一度も会わずに収録したという。
「映画だと、その場で作り上げる部分が多いので“阿吽(あうん)の呼吸”が生まれる。しかし、今回は良い意味でそれが生まれなかった。思春期特有の恥じらいやズレが、うまく表現できたと思っています」

自らの“声”に耳を傾け、思いを乗せる

窪田正孝

これまでの声優経験は2作品。俳優活動がメインの中で、今回その面白さに気づいた。

「先日、『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』という、暗闇の中で視覚以外の感覚を楽しむイベントに参加したんです。そのとき自分の声が何倍にもなって聞こえた。声優ってその感覚に近いのかなと思いました。脳にセリフが響いてきて、自分や人の声や音に真正面から向き合わなければいけない。呼吸一つにも意識する必要があって、役者として演じることとの違いを明確に感じましたね」