——現在の活動を始めるに至った経緯を教えてください。
チェ・ジヒョン
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(LCF)でメンズの洋服を専攻しながら、〈キコ・コスタディノフ〉でインターンシップを経験し、卒業してからすぐソウルに帰り、友達と〈DADAPIC SHOWROOM〉を1年間営みました。2018年に初のコレクションをやって、今の〈Jichoi〉という自分のブランドを立ち上げて、現在も活動しています。
——現在のご自身の活動につながるような、子供の頃から触れてきたカルチャーを教えてください。学生時代はどんな音楽や映画、アニメ、テレビ番組、漫画などがお好きでしたか?
チェ
幼い頃からかわいいものだけが唯一私を笑顔にさせてくれました。サンリオのハローキティやサンエックスなどの文房具やグッズを集めるのが何よりも好き。何か内容のある映画やアニメより、商品的に消費できる、デザインにフォーカスしたキャラクターにいつも興味を持ってきました。
現在、洋服だけではなく、キャラクター産業の方にビジネスを拡張しようというプランがあります。
——この2、3年ほどで発表された韓国の作品で刺激を受けたものは?
チェ
NewJeans。今までのK−POPとは少し違って、ただのファンだけではなく、男女も年齢も関係なく多くの人たちが聴きやすい音楽だと思います。あと、メンバーの年齢はとても若いですが、私やその上の世代がノスタルジーを感じるような曲やビジュアルや映像、コンセプトにいつも感動しています。
彼女たちが、今の韓国全体のカルチャーをリードしている感じがしました。
——これからの韓国を面白くすると思われるキーパーソンを教えてください。
チェ
写真家のハン・ダソム(Hahn Dasom)、ドキュメンタリー監督のチョン・ダウン(DQM)。私の古い友人で、一番仲の良い2人です。ずいぶん前から素敵な仕事をしてきており、確固たる地位を築いている2人ですが、今も、これからも、もっと大きな仕事をやり遂げると思います。
何よりも韓国人として韓国の情緒を失わず、彼女たちならではの美意識で高いクオリティを出しながら、韓国の特色を世界に広く知らせることができる人たちだと思います。
——ご自身のクリエイティブについて、どんなことを大切にされていますか?
チェ
“最も個人的なことが最も創造的なことになる”と常に考えています。皆、同じように生きているように見えますが、100%一致するなんてことは絶対にあり得ませんよね。
何かもの作りをする際には、私にとって必要なものは何か、自分が面白いと思うものは何なのかということに集中することを心がけています。そうすると結果的に、ほかの人からの共感を得ることができるし、自分だけのオリジナリティのある結果が出てくるのだと思います。
——ご自身の作品を、どんな人に、どのように伝えたいと考えていますか?
チェ
「自分は一人じゃない」と思ってほしい。先ほど皆が同じように生きているわけじゃないと言いましたが、私が作ったものに反応、もしくは共感するということは、どこかの部分で私と似た人生を生き、似たような考え方をしているからだと思います。
——韓国国内でよく行く好きな場所とその理由を教えてください。
チェ
週末にはできるだけ遠くない距離にある自然を感じに行きます。例えば、土曜日には登山、日曜日には漢江(ハンガン)をランニングしたりして。もの作りのインスピレーションを得たい時には、市内のどこかを訪ねていくよりも、自分の家やショールーム、事務所内で、自分の好きなものに囲まれていることを好みます。
自分が今一番好きなものを、一番よく見えるところに配置しておくと、心が楽しくなって、自分が何を望んでいるのかを簡単に知ることができるようになります。
——ソウルの魅力を教えてください。
チェ
都心の真ん中で山や川といった自然に出会えること。あと、いい意味でも悪い意味でも何でも速いこと。流行も速いし、地下鉄も速い、業務処理も速いし、配送も速い。私にとっては、なかなか魅力的なポイントだと思います。
——今後、近い将来やってみたいことを具体的に教えてください。
チェ
最近、興味が募って木工を習い始めました。自分で作った家具を店に置いてみたり、内装すべてを自分で手がけたりするのは、そう遠くない未来に実現したいです。