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シンガーソングライター・甲田まひるが語るジャズ。“今”しかない音を刻み込む面白さ

今、ミュージシャンが一番夢中な音楽、それはジャズかもしれない。ロック、ヒップホップ、R&B……音楽家は、その魅力をどう捉えているのだろうか。シンガーソングライター・甲田まひるにおすすめの3枚とともに大いに語ってもらった。

photo: Wakana Baba / text: Shunsuke Kamigaito

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“今”しかない音を刻み込む面白さ

私が16歳の時に発表した『PLANKTON』は、小さい頃から大好きだったビバップが中心のピアノトリオ作品です。当時、(石若)駿さんが「今しか出せない音があるよ」と言ってくれて。ありのままの演奏を残せることがジャズの魅力だと思い制作を決意しました。

現在はジャンルにとらわれず、ヒップホップやポップスの要素を織り交ぜながら楽曲を作っています。ただ、その中にジャズの基本的な技術を取り入れると、すごく新鮮に受け取ってもらえることがあるんです。その点、音楽活動をジャズからスタートできたことは自分にとって大きなプラスだったと思います。

甲田まひるが選ぶ、おすすめの3枚

Q1:オールタイムベストは?

『Jazz Giant』Bud Powell

モダンジャズ・ピアノを確立した巨匠バド・パウエルによるピアノトリオ作品。バド・パウエルは歌心があるところが好きです。ビバップには速弾きのイメージがありますが、その中でもきちんと歌いやすいソロを展開しているんですよね。「Tempus Fugit」は私が初めて耳コピした曲で強く印象に残っています。

Q2:昨年一番聴いたのは?

『Round Again』Joshua Redman, Brad Mehldau, Christian McBride, Brian Blade

ジャズシーンを牽引する精鋭揃いのカルテットが26年ぶりに発表したアルバム。本当に憧れのメンバーが集まっていて、一生聴いていたい作品です。音楽を通じてメンバー間の濃密な会話が繰り広げられているような感じがしますね。

Q3:これからジャズを聴く人へのおすすめは?

『Moanin'』Art Blakey and the Jazz Messengers

ジャズ界に大きな功績を残したドラマー、アート・ブレイキー率いる名門バンドの代表作。表題作はもちろん、全体を通じてキャッチーでかっこいい楽曲ばかり。ジャズプレーヤーの中で「Moani'」は定番で、曲が始まるとソロまで口ずさんでしまうんです(笑)。ジャズ好きなら誰もが通る一枚だと思います。

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