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滝本誠

イーノとフリップ、ヨーヨー(友友)馬。

 馬は友達、ヨーヨー・マ(友友馬)、高名なチェリストの名前がつい浮かんでしまいましたが、馬への人間の思いは格別のものがあるようです。パリも凱旋門賞の季節になると、いつもは中国、韓国の観光客に占拠されている街にいきなり日本人が増えますが、馬は友達以上に友友金というところでしょう、ヨーヨー。
 今年の夏は、舞台劇『ウォー・ホース~戦火の馬』の来日公演が話題となりましたが、この秋の競馬、いや馬といえばこ

スピン(栞)に凝った、犯罪映画と悪女の本。

 最近購入した本としては格段の重量本が、タッシェン版『FilmNoir:100 all−time Favorites』(2014)です。持ち上げたとき持病の腰痛再発の恐れがあるとはいえ、まちがいなくこれを振り下ろせばあなたを殺せます。あるいはあなたに殺されます。すばらしいのは、本の中でも殺人がわんさかにゃんさか起こっていることですね。
 さて、重量計がないので実際重さがどれぐらいかわからないのです

木で編む巨大人型に供物を詰め込んで…。

 グラフィック・デザイナーの余技的楽しみとして、〈作品〉としての映画ポスター制作というものがありそうですね。愛着のある過去の名画を自分だけの映画館の上映ポスターとして制作するわけです。和田誠さんなども、昔、ジャンル分けしての架空映画セミナーを構想し、それの告知という形でイカしたポスターを作っていらっしゃいます。これはすばらしかった。勝手に作っちゃいました、の愛と夢の世界ということができます。
 イ

ルー・リードの股間、バナナの放つ影響力。

 ルー・リードの初来日コンサート、日時場所の記憶は曖昧ながら、鮮やかによみがえるシーンは、客が投げたタオルを乾布摩擦よろしく前後2回の股間摩擦、それを客席に投げ返したことです。なんてカッコいい
 タオルも急に宙を舞ったと思ったら、不意打ちのように〈ルー・リードの股間〉の汗と匂いをブリーフ+パンツ越しに一気に吸収、純度を増したエクスタシーに悶絶したのではないでしょうか。想定外の運命に見舞われたタオ

チャイニーズガール、美的トラウマの波紋。

 自然引退したのか? と思われていたデイヴィッド・ボウイの一昨年の不意打ち的なアルバム・リリース(『ザ・ネクスト・デイ』)は嬉しい驚きでしたが、さらにリリース直前、リリース後と矢継ぎ早にネット配信されたPVにも驚かされました。特に「スターズ」における女優、ティルダ・スウィントンのあられもない胸はだけ演技に鬼気迫るものがあり、とんでもないものを見せられたと思わないでもなかったですが、彼女はポン・ジュ

なるか、一念勃起、バンド・デシネ復興。

 バンド・デシネ、このフランスの漫画ジャンルはアートのジャンルでもあって、たとえばバンド・デシネ漫画家、映画監督でもあるエンキ・ビラルはルーブル美術館と組んで、『ルーブルの亡霊』展を美術館内部で展開したりするわけです。
 このところ、わが国ではちょうどバンド・デシネに多くの原作を提供してきたアレハンドロ・ホドロフスキーの来日もあって、また若手の研究家・翻訳家の俊英、原正人氏の尽力もあって、メビウス

ニコラス・ローグの自伝に触発され…。

 前回に映画監督ダニー・ボイルの語り下ろし本を紹介しましたが、この監督がもっとも尊敬する監督がニコラス・ローグです。ローグについてボイルは次のように語っていました。
「ローグの作品はアートであり、ひどく挑発的ななにかである。すべてに理解が及ばずとも、彼の作品には本能的に魅せられてきた」
 ミック・ジャガーを起用しての監督処女作『パフォーマンス』(1970)、ヴェネティアを迷宮として、またゴシックの

ダニー・ボイル演出の秘密がこの一冊に。

 ベネディクト・カンバーバッチなる、中世の高貴な宗教的装飾品を思わせる名前が、デイヴィッド・ベッカム以来のフィーバーを、極東の腐、おっといけない貴女子の間に引きおこしたのは、昨年の来日時ですよね。いうまでもなく、コナン・ドイルが創作した名探偵シャーロック・ホームズを21世紀ロンドンへ移しかえたTV版『シャーロック』に主演したことが、カンバーバッチのスーパー・ブレイクの始まりでした。
 そのフィーバ

この見事な虫の皮骨感、身近な虫で言うと…。

 思わず見惚れ、繊細な手触りに、これはやはり〈紙の本〉じゃないと味わえない恍惚境だなと思わせる書籍が今年に入って刊行されました。フランツ・カフカの代表作『変身』のスーザン・バーノフスキーによる新しい英訳書で、ブック・デザイン担当はKeenanとなっています。
 わが国の出版状況では、コスト面からいって可とならず不可の判断がなされることの多いエンボス(浮き出し)加工が絶妙のバランスで表紙全体に広がっ