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漫画家

ゴム鉄砲もけん玉も、おもちゃはだいたい手作りでした。|東海林さだお

 生まれは東京の杉並です。小学校2年から中学2年までは栃木県に疎開していました。だから思春期のほとんどが田舎、それもイノシシが出るようなところ。東京者というより地方出身者みたいな意識が強いですね。父親はコニカの前身の会社で働いて、途中退社して酒屋に。母親は栃木県出身の主婦でした。子供の頃は何しろ田舎なので、上草履を履いて学校に通っていました。おもちゃもなくて、ゴム鉄砲って知ってます? スズメを獲っ

人間って美しい。忘れかけていた感覚を取り戻せるアート展。

 絵画や彫刻、現代のイラストレーションなどのアート作品のなかで、多くのアーティストが題材にし、鑑賞者の目を惹き付けるモチーフの一つが、女性を描いたものだろう。女性の美しい姿を表現した作品は、昔から世界中で愛されてきた。不朽の名作といわれるレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」をはじめとして、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」や、ラファエロの描く聖母など、美しい女性をモチーフに描かれた作品の数々

すずやのとんかつ茶づけ

 高校2年生の夏、私は美術部の先輩が友人のNちゃんと会う時の「緩衝材」として〈すずや〉にいた。自分に期待されている役割に気付かず、ただとんかつとキャベツとごはんの割合をうまく保って食べるのに注力し、元来マイペースなNちゃんが食べ放題のごはんを一度おかわりしたので心中で尊敬した。ちょっと変わった食べ方のとんかつは先輩にとって自慢のごちそうだったのだと思う。私はただ目の前のちょうど良く残したとんかつに

蛭子能収

 人はなぜギャンブルをするのだろうか? 『麻雀放浪記』の著者・阿佐田哲也であれば深甚な人生論を展開してくれそうな問いだが、シンプルにもこう答えた人がいる。
「ただただお金を増やすことに関心があるんです」
 そんな“ギャンブル=財テク”説を唱えるのは、芸能界きっての賭け事好きとして知られる蛭子能収さんだ。しかし、現実はそんなに甘くない。全体の80パーセントは負けているという。
「やる前は今日こそ勝て

星野道夫の言葉で知る世界のもう一つの摂理。|渡辺ペコ

 中学の国語の教科書に載っていたエッセイで出会った星野道夫さん。写真も素晴らしいけれど、星野さんの、仔細で具体的な描写を読んで、まだ見ぬ世界を想像するのも豊かな楽しみです。特に好きなのが『旅をする木』と『魔法のことば』。読み返すたびにそのスケールの大きさに深呼吸したくなります。
 季節の移り変わりと太陽の動きによって規定されながら移動していく動物の描写。そこから浮かび上がる大きな時間の流れ。自分の

写真の内から外へつながる「時間」と「空間」。|森泉岳土

 父の書棚で星野道夫さんの写真集を見つけた3年後、高校2年生の夏休みに、父の友人を訪ねてアラスカへ行きました。初の海外、初めての一人旅。16日間でデナリ国立公園、ポーテージ・バレー、バルディーズ、コロンビア・グレイシャーなど夏のアラスカを回りました。初めてなのに、不思議と未知の場所に行くような気がしなかったのは、星野さんの写真を見ていたからだと思います。
 印象に残っているのは、雪原に列をなすカリ

糸井重里が語る、我が青春のスナックとスナック芸。

 30歳になる直前だったかな。とある雑誌の打ち合わせで、ふと「スナックでやるような芸を誰かまとめて本にしないかな」って僕が言ったんです。当時「スナック芸」なんて言葉はなかったけれど、飲みの席でやるお手軽な芸ってあるじゃない、タバコとマッチとグラスを使うような。要するにくだらない遊びです。「そういう本があればオレ絶対買うよ」って。そしたら編集者に「じゃあ、糸井さんが書いてください」。それでできた本が

"目立ちたい"という欲望には恥じらいを持って。

 次に長編を書くのなら、子役の世界を書いてみたいと松尾スズキさんが思ったのが実は10年以上前。子役出身の俳優と対談し、俳優養成所内の厳格な上下関係や、一部の人間だけが生き残る残酷な社会に興味を持ったのがきっかけだった。
「この10年の間に僕も実際に芸能界を見てきた。子役の世界に代表される特殊な芸能社会に、サラリーマンを引き込んでみたら、自分流のサラリーマン小説が書けるんじゃないかと思ったんです」