「ジャズにのめり込んだのは中2の時です。地元で石若駿さんのライブを観て衝撃を受けて、僕もこんなふうになりたいと思いました。そこからは追っかけみたいに地元に来たら必ず行って、東京にもたまに観に行ってました。その流れで、石若さんに高田馬場の〈イントロ〉に連れていってもらって、ジャムセッションにも行くようになりました」
ジャズにハマった群馬の中2。話題を共有できる同世代がいなくて、孤立しそうな気がするのだが。
「高校生の時に北海道グルーブキャンプに参加したんです。そこに同世代の高橋直希、冨樫マコト、MAPPY(甲田まひる)がいて、同世代で話が通じる人に出会えた。以降は彼らとLINEで連絡とってます。佐々木梨子ともそのキャンプで知り合いました。当時、彼女は中学生でしたね」
同世代の才能が集結した北海道で、中村は後に『BLAQUE DAWN』で共演することになる、アルトサックス奏者の佐々木梨子と出会った。彼女もまたシーンで話題の新星だ。
スタイルを持つ新星たちは刺激し合って一等星へ
「最初、彼女は上のクラスにいたんですよ。次の年に僕が上に行って同じクラスで一緒に演奏できたんですけど、彼女だけレベルが全然違いました。彼女と演奏していると、レジェンドとやっているような感覚になるんです。レジェンドの演奏は僕の想定を超えてさらに一段階先がある。佐々木梨子も同じです」
今、アメリカでもイマニュエル・ウィルキンスをはじめ20代の台頭が著しく、彼らは新鮮な音楽を次々に生み出している。中村は日米の同世代をどう見ているのだろうか。
「イマニュエルたちはあらゆること(=スタイルや技術)ができるようになって、それを全部落とし込んでから、(上の世代とは)別の新しいことをやってますよね。自分の周りもクオリティが高いから、何でも自分のフィールドに持ってこられる。
平田晃一はジム・ホールが好きな、オーソドックスな演奏のギタリストですけど、コンテンポラリージャズ的な僕の自作曲を弾いてもらっても素晴らしいんです。オーソドックスな弾き方のままで僕の曲で良いソロをとる。自分のスタイルが自然に自分の言葉になっているから、何をやってもスタイルを貫ける。彼らと演奏するとルールにとらわれずに、お互いが相手の言葉に合わせながら、自分の言葉でしゃべることができるから、演奏してて楽しいんですよ」