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ニッポン昆虫館案内〈アヤミハビル館〉。世界最大の蛾を“むき出し”で展示⁉ 与那国島のの虫スポット

全国に点在する昆虫館。国内屈指の虫愛好家でもあるスタッフたちが、日々マニアックな目線で展示に工夫を凝らしている。動く昆虫を眺め、標本のコレクションに唸る、至上の虫スポット、昆虫館へ出かけよう。

Photo: Kazufumi Shimoyashiki / Text: Keiichiro Miyata, Shiho Yoshida

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アヤミハビル館(与那国島/沖縄)

世界最大の蛾を“むき出し”で展示⁉
ヨナグニサンを間近でウオッチング。

翅を広げるとおよそ20cmにもなる世界最大の蛾・アヤミハビルとは、ヨナグニサンを指す与那国島の方言だ。2002年に開館。戦前は乱獲によって絶滅の危機に瀕した県指定の天然記念物、ヨナグニサンを保護・繁殖する。

館では水曜を除き、公式Twitterの“中の人”でもある学芸員、杉本美華さん自らが案内。「穏やかで堂々としたヨナグニサンは昆虫学者にとっても憧れの存在。もふもふ&トゲトゲの幼虫も見応えがあります」。

ヨナグニサン
繭に止まり、大きな翅を休めるヨナグニサン。

驚くのが、ケージの外に出した状態での生体展示。日中はほとんど動かない習性を利用したもので、周囲の景色を取り込む擬態の一種、翅に入った三角の透かし模様もつぶさに観察できる。羽化は春と秋。冬季は繭を生体展示する。

舌を出した蛇の横顔に見える、蝶の擬態
舌を出した蛇の横顔に見える褐色の紋様。天敵の鳥を威嚇するための擬態と考えられる。中央の三角形が透かし模様。

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