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インディーゲームガイド「ただ怖いだけじゃない」編。恐怖の奥底にある繊細な感情に触れる5作品

はじめての人にも、そうじゃない人にも。大人が夢中になれるとっておきのインディーゲームを山田集佳さん、洋ナシさん、さやわかさんの3人が厳選。今回は「ただ怖いだけじゃない」をキーワードに5作品をご紹介します。

text: Sayawaka, Shuka Yamada / edit: Kohei Hara, Shunsuke Kamigaito

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Milk inside a bag of milk inside a bag of milk and Milk outside a bag of milk outside a bag of milk(2020)

developer:Nikita Kryukov
対応機種:Switch/PC

牛乳を買うだけの道のりが、こんなにも苦しい

プレイヤーは何らかの精神疾患を抱えた少女の“心の声”となり、対話しながら彼女の日常風景を垣間見る。暗い色調に、8bit風のおどろおどろしいグラフィック、ホラーテイストが漂う世界観の中で、少女が抱える“生きる苦しみ”がダイアローグによって浮かび上がっていく。

「テキストを読むうちに、他人からは筋が通っていないように見える行動の中にどんな論理があるかが見えていきます。ビデオゲームは世界の見え方を提案できると実感する作品です」(山田集佳)

返校 -Detention-(2017)

developer:赤燭遊戲
対応機種:Switch/PS4/PC/iOS/Android

抑圧された時代の空気を、ホラゲーの手法で描く

1960年代の台湾を舞台にした、2Dのポイント&クリック型アドベンチャー。冥府の者が徘徊する学校から脱出を図るうちに、戒厳令下の生徒や教師らの過酷な日常をも覗き見ていくことになる。

「恐怖による統治と相互監視に染まった日常が、台湾の文化や宗教に基づいた怪異と重なり合い、当時を生きる人々の苦しみがいっそう強く胸に迫ります。ドラマ化・実写映画化もされ、台湾での白色テロ以降に生まれた若者にとって、歴史を学ぶ契機ともなっています」(山田集佳)

OMORI(2020)

developer:Omocat LLC
対応機種:Switch/PS5/PS4/Xbox/PC

おぞましさとイノセンスが共存、幼い心理世界

バトルの敵もまるでノートに描かれた落書きのよう。キュートな雰囲気が漂う、青春時代をモチーフに構成されたRPG。そこで語られるのは幸せな物語……かと思いきや、実はそこは“夢”の世界。ゲームはやがて、現実を生きるうえでの心の痛みや過酷さ、心理的な闇を見せつけるサイコホラーストーリーへと化す。

「怖い描写もありつつ、ストーリーには寂しさや葛藤など、若者が持つ繊細な感情が丁寧に描かれていて素晴らしいです」(さやわか)

Five Nights at Freddy's(2014)

developer:Scott Cawthon
対応機種:Switch/PS5/PS4/Xbox/PC/iOS/Android

いつの間にか、ヤツがすぐそばに忍び寄る

ピザレストランのマスコットキャラであるロボット人形たちが、夜になると凶暴化して店を徘徊。警備員であるプレイヤーは、遠隔操作が可能な防犯カメラや自動ドアを駆使して、人形たちに襲われることなく朝までやり過ごさねばならない。「だるまさんがころんだ」のように、カメラから目を離した隙に少しずつ人形たちが近づいてくる。

「大人気ホラーのシリーズ1作目。コミカルなキャラクターデザインが逆に怖い。2024年2月には日本で映画も公開されます」(さやわか)

INSIDE(2016)

developer:Playdead
対応機種:Switch/PS5/PS4/Xbox/PC/iOS

逃れるために、右へと進み続ける

大人気ゲーム『LIMBO』の制作チームが手がけた作品。プレイヤーは主人公の少年を操作して、敵や罠を回避しながら、ひたすら右に向かって歩いていく。台詞(せりふ)はなく、シンプルで直感的にプレイできる。だがステージをクリアしていく間に、少年は何者なのか、そしてなぜ彼は右に向かって歩き続けるのか、物語の背景が次第に明らかになる。

「少々グロテスクな描写もありますが、終盤で静けさを打ち破る劇的な展開が訪れる。ぜひその全貌を体験して」(さやわか)

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