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「愛って、切羽詰まったギリギリの気持ち」。芋生悠が選ぶ、愛の映画『ブエノスアイレス』

愛の映画を語る時、その人が理想とする愛の形が見えてくる。俳優・芋生悠さんに聞いた、愛と映画の話。

photo: Satoshi Nagare / styling: Yasuka Lee / hair & make: TSUKI / text: Mikado Koyanagi

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愛って、切羽詰まったギリギリの気持ち

映画を好きになったきっかけが、ウォン・カーウァイの『ブエノスアイレス』なんです。初めて観た時、これが愛なんだなと思いました。レスリー・チャンとトニー・レオンが演じた主人公の2人は、喧嘩したり殴り合ったり、離れている時間も長いのに、それでも2人は一緒なんだという感覚があって。それに、2人の役者が素晴らしくて、彼らが実際そこに生きているんじゃないかとさえ思えてくる。役者ってすごいなと思った作品でした。

映画『ブエノスアイレス』
香港に住むゲイカップルのファイとウィンは、強く愛し合う一方ですれ違いも多く、別れを繰り返してきた。関係を修復するために訪れたブエノスアイレスでも喧嘩になり、そのまま互いに連絡を絶ってしまう。監督:ウォン・カーウァイ/出演:レスリー・チャン、トニー・レオンほか。

岩井(俊二)さんの『PiCNiC』にも、『ブエノスアイレス』と近いものを感じました。浅野忠信さんとCharaさん。この2人も、ギリギリのところで生きている。私は、生きるとか死ぬとか、そういう切羽詰まった愛の描かれ方が好きなのかもしれません。

そう思うと、自分の出た映画で恐縮ですが、『ソワレ』もそうですね。この作品も演じた役も、私にとって今も特別なものになっています。共演した(村上)虹郎くんも、恋愛とかではないんですが、本当に大切な存在になりました。

私が出演した前田弘二監督の『こいびとのみつけかた』も色んな愛が詰まった映画なんですよ。私が演じた園子とトワ(倉悠貴)は、ちょっと不器用で変わっているんですが、2人がお互いを思いやる気持ちもさることながら、2人を取り巻く人たちが、みんなそれぞれのやり方で2人に手を差し伸べてくれるんです。現実世界にも、こんなコミュニティがあったらいいなと思いました。

監督:前田弘二/出演:倉悠貴、芋生悠ほか/2人にしかわからない不思議な関係を描く。植木屋のトワは、コンビニで働く園子に恋をする。しかし、彼女にはある秘密があった。
俳優・芋生悠
ニット33,000円(パーバーズ/パーバーズカスタマーサポート HP:perverze.jp/)、ブローチ ゴールド9,900円、ブローチ シルバー9,900円(共にミューラル HP:murral.jp/)、イヤーカフ4,950円(ロニ loni_info@auntierosa.com)、シューズ33,000円(コトハヨコザワ/オン・トーキョーショールーム TEL:03-6427-1640)、その他スタイリスト私物

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