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撮影監督・今村圭佑が二度と観たくない名画『好きだ、』

中毒性が高すぎたり、作り手であるがゆえに嫉妬してしまったり……。映画のプロたちが2度目をためらうほど、強烈な映画体験をもたらす傑作とはなんだろうか。撮影監督・今村圭佑に聞いた、もう二度と観たくない名画とは。

text: Emi Fukushima, Yoko Hasada

初めて観た時の感動をずっと心にとどめたいから

映画作りに興味を持つきっかけをくれたのが本作。宮﨑あおいさんのファンだという理由だけで、高校生の頃に地域に唯一あるミニシアターに観に行って、独特で曖昧な空気感にすごく感銘を受けたんですよね。

当時は撮影技術はおろか映画のことも何もわからなかったんですが、今思い返せば、離れた距離から対象を撮るというドキュメンタリー的な技法で、覗き見しているような感覚を演出していたことが僕の目に新鮮に映った理由なのでしょう。

でもそうやって専門的な知識を得た今になって、それ以上の種明かしをしたくないような気がして。高校生の自分のようなまっさらな観賞者に、直感的にいいなと思ってもらえる映像を撮りたいという日頃の思いは、紛れもなくこの作品の影響。大切な映画だからこそ、印象を塗り替えたくないんです。

『好きだ、』
互いに好意を抱きながらも、思いを伝えることができないユウとヨースケ。17年の時を経て2人は偶然再会するが──。'05日/監督・脚本:石川寛/出演:宮㟢あおい、西島秀俊ほか。