TaiTan
えー、今回は周啓くんがめちゃくちゃ体調を崩してしまったということで……安居智博『100均グッズ改造ヒーロー大集合:切ってつないでトンデモ変身!』を1人で語ります。
もともとこの人の作品はSNSでもウォッチしてて好きだったんですけど、こうやってまとまった一冊になると、彼の作家性やセンスが体系的に見えるようになりますね。100均のグッズを組み合わせていろんなヒーローを作り出す、という構図は極めてシンプルなんですが、実は10年以上も前からアートシーンで注目を集めるくらい批評的な人でもある。
この本のあとがきにも、かつて1793年頃に桔梗屋重兵衛という風流人が日用品を使って人形を作っていた……というエピソードが書かれています。
現代では民藝のフィールドで評価されている桔梗屋重兵衛の作品と同じように、安居さんの作品も数百年後には民藝として評価されてもおかしくはない。「面白グッズ」の枠を飛び越えて、現代アートのギャラリーに並んでも遜色のないものになっているんです。
これは僕の個人的な関心でもあるんですが、「あらゆるものはメディアである」と思っているんですよ。100均のグッズも見方を変えれば、さまざまな情報を伝える媒体=メディアです。一見なんの役にも立たないようなモノとモノを組み合わせることによって、新たな意味が生まれてくる。
これがすごく刺激的。この先なにかのタイミングで現代アートの美術館で展示されたり、バレンシアガとのコラボなんかもあり得るんじゃないかと思います。
今年のバレンシアガのコレクションのカバン、見ました?靴箱ですからね。靴箱を小脇に抱えて、カバンとしている。これはもう、安居さんが100均のクロックスで犬を作っているのとまったく同じと言っていいでしょう。