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奇奇怪怪の百貨戯典:読まなくても内容が伝わる超整理術論

Podcast番組「奇奇怪怪」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第21回。前回の「羽生善治から考える芸術家論」を読む。

text & edit: Daiki Yamamoto

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周啓

今回は『佐藤可士和の超整理術』を古本で入手したんだけどさ。

TaiTan

ほうほう。

周啓

おそらく前に読んだ人が、目次から最初の20ページくらいまでほぼ全文に赤線を引いてるんだよね。で、案の定それ以降のページはぱったりなくなっている。そこで思ったんだけど、本に赤線引くのって意味なくないか?

TaiTan

章立てとかトピックってそれ自体が太字になったりしてるのに、赤線を引くことでその効果を薄めてしまっている、と。

周啓

整理術の本の全文に赤線を引いた結果、読者が明らかに整理できていないっていうのが寓話的で面白かったね。でも俺もよく本に付箋貼るんだけど、あれも意味ないなと思って。

TaiTan

なるほど。

周啓

なんでそこに付箋を貼ったのかすら思い出せないという問題が多発してて。なんで意味ないんだろうって考えたら、佐藤可士和さんはこの本の中で「自分の中で仮説を立てて、初めてモノになる」っていうことを書いてる。

つまり、世の中にある情報をかいつまんで集めるのが整理術じゃなくて、自分で問いを立てられるようになって初めて整理術になるっていう。

TaiTan

俺もかなりメモをとる方なんだけど、見返すことはないわけですよ。なんでメモをとるのかって考えたら、たぶん自分の体を通過させて、形にして残すっていう行為が大事なんじゃないかと思ったわけ。自分の文脈に落とし込まないと、蓄積されないんだよな。

周啓

今日はかなり有意義な話だったね。

……お前は今回、とうとう一ページも読んでこなかったな。

TaiTan

あえて読まなくてもメッセージが伝わる本だって瞬時に判断できたからね。これこそ整理術ってことだよ。

佐藤可士和『佐藤可士和の超整理術』
佐藤可士和『佐藤可士和の超整理術』

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