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奇奇怪怪の百貨戯典:何者でもない過去と向き合うモラトリアム論

Podcast番組「奇奇怪怪」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第19回。前回の「音楽産業も1500円の水もほぼ同じ(?)論」を読む。

text & edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan

今回のテーマは「私たちはいつ過去を愛せるようになるのか」です。この『無職本』のコンセプトは、会社や仕事の肩書を失ったときに人は何を考えるのか、というものだと思うんですが。正直俺はね、ほとんど心に響かなかった。

周啓

まあ日々のTaiTanの働きぶりを見てると、そう思うのもわかるよ。

TaiTan

要するに、今の俺は中途半端な状態なんだよな。この本に書かれているような不安や焦燥感を抱いているわけじゃないけど、すでに何かを成し遂げたという状態でもない。

周啓

俺は俺で、そういう何もしていない時間に対してコンプレックスや焦燥感を抱いている状態がずっと日常だったから。音楽の方も、今でも時期によってはほとんど無職と変わらない時間が流れているときもあるし。だから、忙(せわ)しない現実世界を一度反対側から覗き見るっていうのは重要なことだ、っていうのは腑に落ちたかな。

TaiTan

たぶん「何者でもなかった時間」とどう向き合うのか、っていうことだよな。そういうものに対して、俺はあまり寄り添うことも突き放すこともできないというか……。本当に「30歳」って感じだな。「俺にだってモラトリアムを味わわせろ」って思いますよ。

周啓

当たり前だけど、人生には心のゆとりが必要じゃない。でも、そういう短期的なゆとりを日常に配置できるような人は、無職にならないんだよね。だから「ちっちゃい無職状態」を日常に差し込める世の中になったらいいのになって思うよ。

TaiTan

以上、モラトリアム玉置からのコメントでした。

周啓

そんなオチでいいのかよ。

TaiTan

ちなみに『もらとりあむタマ子』はめちゃくちゃいい映画なんだよ。

周啓

今度観てみます。

無職本
『無職本』

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