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奇奇怪怪の百貨戯典:存在自体が動詞になるこんまり論

Podcast番組「奇奇怪怪」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第16回。前回の「30年間で進化しすぎた漫画表現論」を読む。

text & edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan

いや、本当にすごいよ。

周啓

なにがだよ。

TaiTan

こんまりだよ。『人生がときめく片づけの魔法』を読んだわけだけどさ、本当にすごいんだよ。そもそも俺の夢は、こんまりみたいになることだからね。

周啓

それは説明が必要だろ。

TaiTan

存在自体が動詞になる、っていうね。こんまりってその第一人者だから。

周啓

たしかに。改めて読むとすごい本だった。「片づけをしすぎて病院に搬送された」「年賀状は受け取った時点で役割を終えている」とか、片づけを突き詰めた結果、表現が過剰になりすぎてて面白い。普通に声出して笑っちゃった。

TaiTan

それなのに、めちゃくちゃ納得感あるんだよな。もう俺も、普通に影響を受けてものを捨てたくなってる。捨てることを目的に、ものを買うようになったりね。

周啓

そんなやつはいちゃいけないんだよ、今の時代に。でも、俺もこんまりに影響を受けて、大量のCDを片づけたもんね。

そのとき気づいたんだけど、雑に段ボールに投げ入れられるCDと、どうしても投げられないCDがあるんだよ。それが「ときめくか、ときめかないか」なんだな、って。

TaiTan

なるほどね。いつか、お前の存在自体が「投げる」を表す動詞になるといいよな。玉置投球。

周啓

雑すぎるだろ。「投げる」を表す動詞になりたくはないよ、別に。

TaiTan

こんまりには2つ、発明があるんだよ。「Spark Joy=ときめく」っていう動詞の発明と、「こんまり」の存在自体が動詞になるっていう発明。俺がリスペクトする日本人三傑に入ってるよ、今。だから俺もいつかは、動詞になりたいよね。

周啓

お前もすでに動詞になってるだろ。「悪だくみ」っていうさ。

TaiTan

そのドメインはとってねえよ。

『人生がときめく片づけの魔法』
『人生がときめく片づけの魔法』

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