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奇奇怪怪明解事典の百貨戯典:メディアを挑発し翻弄する “監督の言葉”論

Podcast番組「奇奇怪怪明解事典」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第11回。前回の「次の時代の “中心”を占う 雑誌文化論」を読む。

text&edit: Daiki Yamamoto

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周啓

『モウリーニョの流儀』って大河ドラマみたいなタイトルだよね。

TaiTan

そうだね。

周啓

モウリーニョってとにかくマスコミの取材を受けない監督だったらしいね。そのわりにこの本では饒舌に語っていて、日本でいうと落合(博満)っぽいなって思ったんだよね、最初は。でも落合よりもサービストークがめちゃくちゃうまくて、言葉でチームと社会との接点を作ろうとしている。そこが面白いところかなって。

TaiTan

なるほど。今日のテーマは、「監督は言葉でどうチームを設計しているのか」だな。モウリーニョは「知的売春をしているにすぎない」とか挑発的なことを言ってメディアを翻弄するんだけど、その背景には「自分の発する言葉はチーム作りの一環である」という意識があるんだよ。そのために、メディアが伝える“虚像”と自分の“実像”をハッキリ使い分けている。

「みなさんの家に届くモウリーニョと、自宅に帰るモウリーニョは違うのである」というようにね。そういう意味では落合にも通じるものがあるんだろうな。落合も、自分の言葉自体をチーム作りの一つのパーツとして考えていたからね。

周啓

落合との明確な違いはもう一つあって。落合は選手として偉大な成績を残しているから、プレーヤーとしての感覚に絶対の自信がある。一方でほとんど選手としての実績がないモウリーニョは、どんな言葉でプレーヤーが動くのか、という知識を磨いている。2人の大きな違いはそこにあるんだよね。

TaiTan

俺はやっぱり彼らみたいな戦略家が面白いって思うタイプだからね。このBRUTUSの連載を通じて、俺もメディアを翻弄していこうと思いますよ。

周啓

落合もモウリーニョも「翻弄していこう」とか言わないんだよ。

『モウリーニョの流儀』
『モウリーニョの流儀』 著/片野道郎

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