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奇奇怪怪明解事典の百貨戯典:巨大な財を成す 陰謀論のマクドナルド論

Podcast番組「奇奇怪怪明解事典」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第7回。前回の「あり得たはずの未来を食べる 生き物論」を読む

text&edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan 

今回は初めてのDVD回ということで、24年前にアメリカの雑誌で起きた記事捏造事件を基にした『ニュースの天才』を観たわけですが……。現代に生きている身からすると、牧歌的な映画だなと思いましたね。この映画くらいの捏造に驚くのは難しくなっている。

周啓

そうだね。捏造が発覚したあとに事務の女性が「写真を載せたらよかったのに」って言ってたけど、今は写真や映像の捏造も簡単にできるじゃない。

TaiTan 

人間はいつの時代もジャンクな情報に騙され続けてきた。そういう意味では、今回は「情報のマクドナルド」がテーマだね。真偽の明らかでないジャンクフードみたいな情報を扱う巨大メディア企業が出てきて、財を成すのかもしれない。

周啓

たしかに。今の話題で言うと、陰謀論も近い部分があるよね。あくまで想像だけど、実は陰謀論を作っている側も、本当に信じている人ってそこまで多くないんじゃないかと思っていて。いかにワクワクする情報を作るかに快感を得ている人もいると思うんだよ。

TaiTan 

なるほど。いろんなところに点在している陰謀論をまとめる元締めみたいなやつが出てきたら厄介だな。そしてこの映画では頻繁に「ボイスメッセージでやりとりしていたから証拠がない」っていう言い訳が使われている。こうなってくると我々はPodcastの話をせざるを得ないわけで。実は陰謀論と一番相性のいいメディアってPodcastだと思うんだよ。Podcastが一番マクドナルドに近いとも言える。

周啓

たしかに。情報の真偽のハードルは、音声メディアだと少し下がっているかもしれない。

TaiTan 

そうなってくると、未来のマクドナルドになるのは俺だという可能性もある……ということですね。

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