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奇奇怪怪明解事典の百貨戯典:あり得たはずの 未来を食べる 生き物論

Podcast番組「奇奇怪怪明解事典」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第7回。前回の「サブカル的な逃げ場のないプロ野球論」を読む

text&edit: Daiki Yamamoto

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周啓

子供って、電車の中で絶対走ってるじゃないですか。

TaiTan

お、面白そうな話じゃない。

周啓

時間の感覚や心拍数は体重によって左右されていて、ゾウよりもネズミの方が圧倒的に流れている時間が速い……というのが今回の『ゾウの時間 ネズミの時間』に書かれているわけだけど。同じように、子供の方が大人よりも体が小さいから、心臓の拍動も大人よりも速いんじゃないかな。だから子供は生き急いでいるんじゃないか、と思ったんですよ。

TaiTan

電車に乗っている時間は同じなのに、流れている時間は違うってことか。

周啓

そう。実際、子供になんで走ってるのか聞いたことがあるんだよ。そしたら「早く目的地に着きたいから」って言ってて。子供と大人ではサイズが違うから、流れている時間の密度が違うんだろうね。

TaiTan

なるほど。流れている時間の密度が肉体にどんな影響を与えているのかっていうのも、面白い話だと思ってさ。例えば「味」だよね。サイズの小さい生き物って味が濃い気がするんだよ。ホタルイカとかさ、全身を食べるってヤバいよな。

周啓

彼らが生きてきた時間そのものを丸ごと食べてるってことか。

TaiTan

流れている時間の密度が味の濃さに影響を与えているとしたら、すごい話じゃない?ホタルイカよりも味が濃くて小さい生き物っているかな?

周啓

そしたらイクラなんて、一番濃いんじゃないの?

TaiTan

たしかに。未来に流れるはずの時間が卵には凝縮されているわけだから、一番味が濃いのかもしれない。これはすごい詩的な仮説だよ。

周啓

あり得たはずの未来の時間を食うのが一番味が濃い」。……すごい説に辿り着いたね。

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