厳格な老賢者サターン、役割を語る
ウォッホン、土星である。占星術には10の天体が登場するが、私はその中のヒエラルキー内では上位にいるとされておる。諸君は「太陽がいちばんなイメージがあるけど……?」と思うじゃろう。それも間違ってはおらん。星を読む者たちは、太陽を「王」と捉えるからのう。
しかし、どんなに偉い立場の人でも頭の上がらない相手というのがいるじゃろう。太陽にとってはそれが私なのじゃ。太陽=王を諌めることができる唯一の存在が、土星じゃ。そのため、古来、土星は「社会的責任」や「試練」「規律」などと関連づけられてきた。今回は、私という天体が、12星座それぞれにおいてどんな試練を与えるのかを話そうと思っておる。
そもそも占星術とは
占星術をよく知らん者のために補足すると、星読みとは、天球上での10天体の配置を解釈するものじゃ。10天体にはそれぞれ役割があり、たとえば私は若い者を時に優しく時に厳しく指導する立場じゃな。
そして、「星座」というのは、天球を12のエリアに分けたもの。牡羊座から魚座までがピッツァスライスのように並んでいるわけじゃ。この星座はそれぞれ異なる性質を持ち、天体はどの星座にいるかによってその働き方を変える。職場が変われば仕事のやり方やキャラが変わるなんてことはよくあるじゃろ。それと似たようなものじゃ。
お前さんが普段「自分は牡羊座だ」と言うのなら、それはお前さんが生まれた時に、太陽が牡羊座エリアにいたという意味じゃ。生まれた瞬間のホロスコープ、つまり星々がそれぞれどこにいたかで、運勢や人となりを見るのが占星術じゃからの。
なかでも太陽はやはり影響が大きく、その者が世の中的にどんな人間か、ということに関わるから、太陽星座で人柄や運勢を読むことが広まっているんじゃ。
土星は厳しい指導役
その中で、土星が司るのが「社会的責任」「試練」「規律」などというわけじゃ。社会の中で一人前になるには様々なことを乗り越えなければならぬ。そしてその課題を与えるのが私の役割じゃ。
「サターンリターン」という言葉を聞いたことがあるじゃろうか。なんだか運命の分岐点的な感じがするじゃろ?これはそのまま「土星がリターンすること」という意味じゃが、どこにリターンするのかというと、「自分が生まれた時に土星がいた場所」にリターンする、ということじゃ。
私は天球上を一周するのに29〜30年を要する。サターンリターンとは、29年または30年ごとに、課題に取り組むお前さん方のところに監視官が見回りにくるイメージじゃな。「ちゃんと成長しておるか?」と。
そんなわけで、サターンリターンつまり29歳や30歳の時には人生の転機を迎えることが多いと言われておる(60歳くらいの時も同様じゃ)。
生まれた時の土星の位置で試練が決まる
ふう、では本題じゃわい。サターンリターンは一公転ごとに起こることじゃが、私は常日頃からお前さん方に試練を与えておる。
「何かに制限やブレーキをかける」「忍耐を求める」といったちょいとネガティブな解釈もされがちな私じゃが、伝統や格式に則った知恵で人を成熟に導く老賢者としての評判も高いぞ。自意識をセーブする天体なので厄介かもしれんが、社会において責任を持ち、大人として成長するには、そういったコントロールも必要じゃろう?
しかし、12星座それぞれで、私が出す試練は変わる。つまり、お前さんが生まれたときの土星の位置によって、お前さんが社会人として真に成熟するために与えられる課題がわかるのじゃ。ただ、私が与える課題は一回受ければ終わりというようなものではない。「やり続けること」、常に修業していく心意気が必要じゃ。
己の土星星座を見つけるのじゃ
下の図を見てみい。これは、過去60年間で土星がどのように星座間を巡ってきたかを表した運行図じゃ。先ほども申したように、私は29〜30年で全ての星座を巡る。単純計算じゃと、たとえばお前さんが今35歳なら、5〜6年前にサターンリターンを迎えておる。
おそらく蠍座か射手座に土星を持っているじゃろう。じゃが正確に土星星座を知るには、やはりしっかり生年月日で調べたほうが良い。というのも、土星は(というか惑星全ては)ストレートに進むわけではなく、逆行運行を何度もするからのう。そこで、この図の中でお前さんの生年月日がどの矢印の範囲に入るのかを探してみるのじゃ。
1953〜1983年生まれの人
1983〜2013年生まれの人
お前さんが〈1988年6月9日生まれ〉で現在35歳だとしよう。すると、私は〈1988年2月14日〉に射手座から山羊座に移っておるので、お前さんが生まれた時に私は山羊座にいたことになる。土星星座は山羊座じゃ。
もし〈1988年6月12日生まれ〉じゃとすると、私は〈1988年6月10日〉には山羊座から逆行して射手座に戻っておるから、お前さんの土星星座は射手座となる。
老賢者サターン、12変化
それではとうとう、私がそれぞれの星座でどのような試練を課すかを語ろうかのう。くれぐれも普段ホロスコープで読む太陽星座ではなく、上の図で確認した星座のところを読むようにの。
牡羊座
自主性を鍛える
自分らしさを掴み、勇敢に進んでいく強さを得られるかが試練じゃ。困難に直面してもまずは自力で挑んでみい。
自分の個性を明確にしたら、人の個性も尊重していくこと。
牡牛座
心地よさと安心を知る
居場所から追い立てられ、窮地に追い込まれる。そんな経験があれば、それが土星の課題じゃ。
自分にとっての「快」と「安全」を把握し、堅実な大人を目指すのじゃ。
双子座
コミュニケーションで慰撫する
「傾聴力」を身につけ、コミュニケーションによって相手の心を慰撫していく。お前さんならそういった形で成熟が望める。
蟹座
守ってあげる側になる
愛情とは何かを常に考えてほしい。
心を開き、支えられるだけでなく支えることが、お前さんにとって「大人になる」ということじゃ。
獅子座
奮い立ち意欲する
しっかり自信と誇りを保つように。
情けない自分を許せないというプライドを、どうバネにしていくか。大丈夫、お前さんは努力を重ねていけるはず。
乙女座
奉仕の精神を持つ
自分の役割に誇りを持ち、能力を存分に発揮してほしい。
お前さんは特に、安定した居場所を確保することがポイントになるじゃろう。
天秤座
バランスと調和を目指す
人との付き合い方が、お前さんのテーマじゃ。「本当の社交」を考えることが、成熟への道となろう。
八方美人をやめ、思い切って交際範囲を狭めるのもよし、じゃ。
蠍座
質の良い人間関係を築く
お前さんは、愛に悩む宿命じゃ。
相手を信頼し、自分もまた相手に信頼される。人を見る目を養うこと、また、自立のための強い精神力が鍵となる。
射手座
成長を諦めずに動く
「自分の成長を妨げるもの」に出合いやすいかもしれんが、それを克服することで真の成熟を得られるのじゃ。
思い切って決断すると、結果としてそれが世の中の改革にもつながるぞ。
山羊座
自分の力を信じる
常に自分にダメ出しをしているのではないじゃろうか。
あくなき探究心や野心は、お前さんの強み。そこに自信が加われば、言うことなしに「大人」じゃ。
水瓶座
多様性を活かす
独創性や独自性を持つことが最優先課題。
その一方、ユニークな感性を持つからこそ、集団の中で試練に見舞われがちじゃの。
魚座
他者との境界線をつくる
相手とどこまでつながりを持てばいいのかわからず、つい奉仕しすぎておらんか。自己主張を覚えていくことじゃ。
スピリチュアリティは、お前さんを癒やし、大人にするじゃろう。