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東銀座に来なければ手に入らない。国籍も時代もさまざまな一点モノに出合える3軒

江戸文化を今に伝える足袋の老舗から、英国陶磁器に特化したヴィンテージショップ、ユニークな品揃えが魅力のセレクトショップ。長く愛せる一点物が見つかる個性的な3軒をご紹介。

photo: Jun Nakagawa / Edit: Naoko Sasaki

銀座むさしや足袋店

伝統芸能からクラブのママまで、
手作りの足袋に粋を知る

1874年創業。2015年に現在の2丁目に引っ越した〈銀座むさしや足袋店〉。5代目店主の大橋雅庸さんに話を聞いた。「以前の4丁目の店は母方の実家で、家内工業で商いをしていました。この店は地下と2階が工房になっていて、プレス機で裁断した生地を戦前から使っている足踏みミシンで1足ずつ縫い上げています。

足袋はフィット感が大事で履いたときにシワがない方がいい。シワのある足袋を昔から野暮と言うんです。足袋も店によって個性があり、うちのは幅が細くて薄いのが特徴。お客さんは神楽坂や新橋などの芸者さん、歌舞伎俳優さん、料亭やクラブのママさん、お茶や踊りに携わる方など全国にいらっしゃいます。誂えの足型は都道府県別に整理してしまってあるんですよ」。

扱っているのはキャラコの白足袋と紺足袋、柄足袋、色無地足袋。軽くて薄く艶のあるキャラコは今では貴重な素材になりつつある。紺のキャラコと足袋底の生地に至っては機屋が1軒残るのみだとか。お店には、幅4種、長さは14㎝から32㎝まで細かいピッチでサンプルが揃っていて、試し履きをしてぴったりのサイズを探すことができる。

「足にぴったりの足袋を一度履いたら、履き心地の良さに病みつきになりますよ。私は洋服のときでも色足袋を靴下がわりに履いています」。一見ハードルが高いと思いがちだが……「いえいえ、足袋は庶民の文化だったもの。ここは築地が近いですから、昔は割烹着姿で市場の帰りに寄るような店だったんですよ。みんなべらんめえ調で(笑)。今でも朝8時から開けていますので、気軽に立ち寄ってくださいね」

U.K. STOREROOM

ティーカップを中心に、
ヴィンテージの英国陶器がずらり

〈U.K. STOREROOM〉は1995年に豊島区高田で創業し、高田馬場を経て、2004年にこの場所に移転。店名のストアルームは納戸・物置に加え「宝庫」と言う意味を持つ。商品が溢れる店内でお気に入りを見つけるワクワク感を味わってほしいと語るのは店主の香川賢三さん。

「若い頃から英国が好きで、輸入雑貨全般を扱う店から始めました。今ティーカップが多いのにはあまり理由がなくて(笑)。好きなものを買い付けていて、気づいたら増えていたというわけです」

「1930年代から70年代のものが中心ですが、中には200年前のものも。ポットやソーサーとセットで揃うものもたくさんあります。ブランドだとスージー・クーパーが人気ですね。

20年以来の付き合いの長い顧客さんも多いのですが、最近は若い女性のお客さんが増えていて、お母さんと一緒に来る方もいらっしゃいます。ヴィンテージのカップをまるで宝物のように選んで喜んでくれる姿を見るのは本当に嬉しいですね」

FEELSEEN

フロアごとに違った景色を見せる、
密度の濃いセレクトが魅力

今年の5月にオープンした4階建てのショップ。店名は見られているように感じると言う意味の“I feel seen”から。「まるで自分のことを知ってるの?と思うほどに共感のできる品揃え、空間を提供したいというコンセプトから名付けました」。お話を聞いたのは広報の朝野陽子さん。

「フロアそれぞれに個性の異なる商品を展開しています。エントランスのある1階は南フランスに住むマルト・デムランのセレクト。カラフルなテキスタイルやテーブルウェアなどマルトのライフスタイルをテーマにしています。ヴィンテージの什器も全て南仏から取り寄せたものです」

「2階はこの店のクリエイティブディレクターである村松孝尚のセレクトで、パリ、ニューヨークの作家物とヴィンテージの食器や布類が中心。古い印刷物の収集家であり、それらを用いてデコパージュを作る作家のジョン・デリアン、木工作家のパトリック、家具の廃材と樹脂などを組み合わせてジュエリーを作るペイジ・マーティンなど、アーティスティックで個性的なラインナップを楽しんでいただけたら。

3階は布を中心に、ファッションやインテリア、香りなどを揃え、4階はギャラリーになっています」。細い階段を上るたびにガラリと世界観が変わるのが面白い。