Eat

Eat

食べる

編集、ライター・日高むつみが選ぶ島ごはんのとも4選

旅に出たい。そう思っても、なかなか実現できないのが世の常。ならば、旅の思い出を取り寄せるのはいかが?食に通じた日高むつみさんが訪れた先で出会い、感動した、島ごはんのともの記録。荷物とともに、現地の風、そして思い出がやってくる。

text: Mutsumi Hidaka

白めしとともに 島旅の思い出を噛みしめる

文・日高むつみ

海を越えて遠路はるばる、嵐が吹けば帰ることもままならない離島の旅には、格別の非日常感がある。島の暮らしは自給が基本。ないものねだりはせず、手に入る材料を昔ながらの知恵で工夫し、毎日の食事をこしらえてきた。

周囲に広がる海でとれる新鮮な魚介や海藻、島の土で育つ力強い野菜は、香りも旨みも桁違い。長い歴史の中で育まれ、磨かれた調理法や味付けは唯一無二。島に来なきゃ出会えない味だった。

そんな島の料理が、今や続々とお取り寄せに。海を渡らずとも我が家で楽しめるとは、えらい世の中になったもんだ。釣りたての魚をさばいて作る漁師のまかないに、島じゃ弁当のレギュラーおかずな干物、無尽蔵に獲れるからと肉より安価で身近だったサザエごはん、祝い事ならコレで決まりの郷土のごちそうまで、白めしさえあれば手間なく完成。

ドンブリの向こうに、無骨な漁協のおじさんや人懐こい食堂のおばちゃんの顔が、島の景色とともによみがえる。五島と瀬戸内・坊勢島(ぼうぜじま)、佐渡と奄美から、そんな思い出の味を厳選。いざ、味の島旅へ!