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ヒコロヒー「直感的社会論」:過日、わたしはある捜査本部を立ち上げることに決めた

お笑い芸人、ヒコロヒーの連載エッセイ第28回。前回の「日々働いてばかり、なのかどうなのか?」も読む。

text: Hiccorohee / illustration: Rina Yoshioka

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過日、わたしは
ある捜査本部を
立ち上げることに決めた。

先日、コンビニでサラダを買って胡麻ドレッシングも買った。さあ食べようという時、胡麻ドレッシングが胡麻ドレッシングではないことに気がついた。胡麻ドレッシングだと思って買ったそれは、野菜ドレッシングだったのだ。

なぜそのような浅はかなミスを犯してしまったのか、理由は明白で、その野菜ドレッシングのパッケージの色味が、限りなくベージュに近いオレンジだったために視覚的に胡麻ドレッシングだと思い込んでしまったのだった。

この時点で私は自分の思い込みの強さを愚かしむでも恨むでもなく、第一になぜこの色味で野菜ドレッシングなのかということを心から憎んだ。野菜ドレッシングならば、ストレートに、緑の色味にするべきではないか。緑黄色、という字面からの響きで、まっすぐに緑でいいのではないか。

野菜は野菜でも人参(にんじん)やじゃがいもなどの根菜ものを中心に考えているその色味を、かなり敵だと感じた。限りなくベージュに近いオレンジのパッケージは、胡麻ドレッシングに譲るべきで、野菜ドレッシングは奇をてらうことなくおとなしく緑で落ち着くべきである。

では胡麻ドレッシングのパッケージの色味は一体何なのか、私は執念深くコンビニに舞い戻り、胡麻ドレッシングのパッケージを確認することに成功した。なんと胡麻ドレッシングのパッケージの色味は、ピンクだった。ピンク。ピンクとは。ピンクだなんて。ありえるのだろうか。

不束(ふつつか)なことに、胡麻にもドレッシングにも何の縁もゆかりも無いピンクが抜擢されていたのである。そんなもの、胡麻ドレッシングだと誰が思って手に取ることができるのだろうか。これ以上被害者を増やしてはいけないと思い、他のドレッシングも確認することにした。

すると青じそドレッシングのパッケージの色味が、紫色寄りの青色だった。なぜ、青じその、じその方に配慮をして紫色寄りにするのか、青じそは、まっすぐに青色でいいに決まっているのである。

企業努力に水を差すような横暴な意見を撒き散らすことにいささか忍びなさもあるが、これはコンビニドレッシング捜査本部を立ち上げ、事件の追及解明に努めていきたいと考えている。同志を求む。

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