グリース、ワックス、オイル。髪型に合ったスタイリング剤選びとその考え方

髪を切った日は決まっていても、自分ではスタイリングできないというのはよく聞く話。なんだかイメージ通りにならないのも、髪形に合うスタイリング剤を選べてないからでは?ということで、祐天寺のヘアサロン〈Guru's Cut&Stand〉代表の久保勝也さんにスタイリング剤選びのコツを聞いた。

初出:BRUTUS No.876「GOOD GROOMING GUIDE」(2018年8月15日発売)

photo: Kazuharu Igarashi, Yoshio Kato / text: Ku Ishikawa / hair: Katsuya Kubo / illustration: Shinji Abe

「今どきの髪形を考えれば、グリース、ワックス、オイルの3つの中から選ぶといいと思います。まず、頭皮に撫でつけるような七三分けやオールバックにはグリースですね。髪を動かさずに固めるフラットなデザインで、艶を出したい場合に最適です」。グリースとは水性ポマードのこと。日本人の直毛の毛質とは相性が良いそうで、水をつければ簡単に手で直せるというのもポイントだ。

「ニュアンスを出したいときはワックス。毛束を動かしホールドします。グリースとワックスにホールド力の差はないのですが、ワックスの方が軽いので、空気感のあるスタイルが作りやすい。あと、最近の傾向としては、より自然なヘアスタイルを好む人が多くなり、オイルを使う人が増えています」。

ツーブロックのセンターパートやウェス・アンダーソンのようなミディアムヘアにはオイル。髪の流れを生かしたスタイリングになるので、ナチュラルだが個性のある雰囲気を出せる。髪形は名刺代わり。良いスタイリングは、適したスタイリング剤から。

N. ポリッシュオイル Dr.Guru's Laboratory ワックス Cool greaseグリース
左から/〈N.〉ポリッシュオイル。愛用している美容師さんもかなり多いという〈エヌドット〉のヘアオイル。外国人のような自然な濡れ感を高い持続性でキープできるのは、こちらをおいてほかになし。「これは今までなかったですね」と久保さんも絶賛。150ml 3,740円(エヌドット/ナプラ TEL:0120-189-720)
Dr.Guru's Laboratory〉ワックス。通常のハードワックスはとにかく硬いので、チューブタイプは発明とのこと。手でのばすときは軟らかく、髪につけてからガチッと固まる。チューブだから手に取る際にも爪に入らない。たばこの臭いもつきにくい。80g 1,870円(ドクターグルズ ラボラトリー/Guru's Cut&Stand TEL:03-6412-8953)
Cool grease〉グリース。水性ポマードブームの火つけ役、阪本高生堂の〈クールグリース〉。1912年創業の老舗が作る水性ポマードは、ツヤ感の出やすさが圧倒的。水性だからスタイリングを直しやすいし、油性ポマードと違って、髪も洗い流しやすい。210g 1,870円(クールグリース/阪本高生堂 TEL:03-3269-6621)

ヘアスタイリング剤

Oil

Wax

Grease

ドライヤーを使ったスタイリングの基礎

ドライヤーでの乾かし方で、そのスタイリングはほぼ決まるのだそうだ。プロ仕様のドライヤーブランド、〈ノビー〉に聞いたところ、濡れた髪から始める場合は、「強めの熱風」「弱めの熱風」「冷風」という流れで、スタイリングイメージに近づけるように乾かすのが基本だとか。

乾かし方の肝は、最後の「冷風」。「弱めの熱風」でスタイリングのもとになる髪形を作ってから「冷風」を当てると、開いていたキューティクルが閉じるので、その髪形が固定される。髪にツヤも出る。スタイリング剤をつけたら完璧だ。また、髪形によってブローするときに気をつけることも変わるのだが、ショートヘアでもボリュームを出したいなら、下から風を当てて根元をふんわりと。

センターパートをコンパクトに仕上げたいのであれば、上から下に向かって風を当てて乾かせば、ボリュームが出にくい。意外と知らないスタイリングにおけるドライヤーの役割。ドライヤーはただ髪を乾かすものだと思っていた人も多いのではあるまいか。

阿部慎司 イラスト
一度逆向きに立ち上がらせてからスタイリングに入るとボリュームのある七三分けになる。
ノビー NB1500
軽量ボディのNB1500。(ノビー/テスコム TEL:03-5719-2094)