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餃子愛好家・オガサワラガクが語る餃子の魅力。だから私は餃子派!

餃子は熱狂的なファンを抱える、求心力にあふれた一品である。なぜに、そこまで人を夢中にさせるのか。そして昨今の餃子事情とは。餃子を愛する人に聞きました。

photo: Jun Nakagawa / text: Haruka Koishihara

これぞ餃子の魅力

・分かち合えばたちまち仲良しに。
・手間暇かかった餃子はもはや愛の結晶。
・食べれば、お店の気概がわかる。

「本職は餃子。趣味は餃子。恋人は餃子。」。オガサワラガクさんのオフィシャルプロフィールにあるフレーズだ。
「餃子は小さい時から好物でした。でも10年前、今後自分の人生をどう生きるべきか?と考えたときに“自分が餃子に抱いているこの思いは、単なる『好き』のレベルじゃない!”と悟ったんです。

いつもそばにいた幼馴染みを実は心から愛していた、と気づいてしまったような気分でした」。以来、全国の餃子の名店の餃子を食べ歩き、自宅では取り寄せた餃子を焼き、それでは飽き足らず、尊敬する餃子の名店で修業するまでに。

そこまでオガサワラさんを引きつける、餃子の魅力とは。「よく言われますが“餃”という字は“食べて交わる”と書きます。みんなで一皿の餃子を分かち合いながら瓶ビールを注ぎ合う時間はシンプルに楽しいし、絆が深まる。“同じ釜の飯を食う”という言葉に通じますね」

餃子は愛そのものだ、とも。「材料を細かく刻んで混ぜて包んで……と、とても手間のかかる食べ物なのに、500〜600円で食べられるだなんて、もはやサービスを超えて無償の愛ですよね」

高校生のときから通っている〈珉亭〉の餃子は、オガサワラさんにとってその代表格。「形が一個一個微妙に違うのは手包みの証しだし、むしろ個性。そうしたブレも味のうちで、愛らしいんです」

餃子愛好家・オガサワラガクさん
焼きたてより、少し温度を落ち着かせたほうが味がより分かるからと、約3分待って思いを一層募らせるのがオガサワラ流だ。

つけダレの最適解や、皮と餡とのバランスが語られるようになるなど、近年は食べ手のリテラシーが高まった、とオガサワラさん。そんな中、近年“町中華”の餃子を重点的に食べ歩いているという。

「町中華といわれるお店は、1950~60年代からやっているので、年季の入った佇まいがまずいい。床が多少ぬるっとしていることすら愛おしい。一朝一夕では醸し出せない趣にはアナログレコード的な魅力を感じます。餃子を食べながら、そんな空気感も一緒に味わっているのです」 実は餃子は、お店の姿勢を感じ取るのに格好の料理だ。「手間暇かかる餃子をきちんと作っているお店は、ほかのメニューもおいしいし、店構えが古くても手入れが行き届いていますね」

愛する町中華の餃子は、餃子好きのみならずカレー派にも薦めたいという。

「予習せず、近所の町中華に飛び込んで五感で楽しんでみてほしいです。カレーがあるお店も多いので餃子と一緒に!」