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グルマン温故知新:白金高輪〈くじら料理 うずら〉惜しまれつつ姿を消した名物鍋が、蘇る

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「帰ってきた“あの味”」。町の再開発、後継者不在など理由はさまざまあれど、こよなく愛した味との別れは悲しいもの。が、時には復活を果たすうれしいケースも!昭和の時代から長らく愛されてきたクジラ料理が、この秋、見事にカムバック。

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Haruka Koshihara

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くじら料理 うずら(白金高輪)

惜しまれつつ姿を消した名物鍋が、蘇る

遡ること50年前、麻布十番で創業した〈うずら〉。店主の永田晃一さんと芳子さんが夫婦で切り盛りし、当初は海鮮類が評判の小料理屋だったが、30年ほど前から常連客の勧めでクジラを扱うように。やがて、工夫を重ねた「はりはり鍋」が人気を集め“クジラ料理の名店”として知られるまでになった。

2008年の白金への移転後も愛され続けるも、22年に晃一さんが急逝し、閉店。が、熱心なファンの支えもあって、2023年8月に同じ白金で復活を果たした。

長年支持されてきた味の印象は変わらぬよう、しかし時代に合わせて化学調味料類は使わないレシピへと進化。また、以前はうどんか雑炊だった鍋の〆も、こちらではラーメンに。何種類もの中から吟味したというコシのある細麺は、クジラの旨味が溶け込んだスープによく合う。

女将の芳子さんが店に立つ日も多く、料理長の原子貴之さんは薫陶を受けつつ腕を振るう。味のバトンが受け継がれている。

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