渋谷（テンキ）
フレンチシェフによる自由で新しい天ぷら
天つゆや塩で食べるのが当たり前だった天ぷらに進化系が登場。オーナーシェフの亀谷剛さんは曙橋〈スクレ・サレ〉ほか、都内のフレンチや本場パリで腕を磨き、三軒茶屋〈ビストロリゴレ〉で独立。
新たにオープンした〈テンキ〉は「天ぷらはフォーマットがシンプル。そこにベニエやフリットなど海外の揚げ物の要素を融合させたら面白い」という発想がベースだ。
「海老」エスニック料理のエビトーストから着想した人気メニュー。白ワインに合うように、太白胡麻油とグレープシードオイルで軽やかに揚げる。エビの身をエビのすり身で包み、エビの頭から取っただしをベースにしたアメリケーヌソースを合わせて旨味を凝縮。注文は2名分から。1名分700円。 
「タコのオレンジポン酢」素材はタコ、ヤングコーン、大豆とセビーチェを思わせる組み合わせ。ブラッドオレンジの果汁と昆布と煮干しのだし、魚醤を少々合わせたポン酢でいただく。マーガオとゴマ油、バジルオイルで新鮮な味わいに。800円。 
「トリュフ香るしらすとマッシュルームのオムレツ」香りが高くジューシーな味わいの宮崎県産〈イマハシマッシュルームファーム〉のマッシュルームは、表面を覆い尽くすほどたっぷりと。シラスの塩味とトリュフオイルが卵と好相性。ワインがはかどる一品。1,200円。
具材によって衣を替えることで、食感や風味の違いを楽しませるのが強みであり魅力。スペシャリテの海老なら、エビのすり身に濃厚なアメリケーヌソースを合わせながら、軽い仕上がりに。
どれもソースやスパイス、ハーブなどフレンチの手法により重層的なおいしさ。さらに塩の決め方、味のまとめ方に経験値の高さが感じられ、酸の効いた白ワインにぴたりとはまる。
レストランクオリティの料理に、居酒屋の気軽さと角打ちの面白さ。新橋の雑多さと渋谷のストリート感も漂わせる注目店。
フレンチ歴二十数年というオーナーシェフの亀谷剛さん。 
コの字のカウンターをメインにスタンディングスペースも併設。
