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グルマン温故知新:新富町〈新富町 湯浅〉旬魚とフカヒレの2本柱で勝負

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「中華、名店の系譜」。気軽な酒場スタイルの店が増え、活気を増す東京チャイニーズシーンだが、新たに誕生した実力派をご紹介。有名店で計十余年腕を磨いたシェフが満を持して開いた店。オープン直後から安定感十分!

Photo: Naoki Tani / Text: Kei Sasaki

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新富町 湯浅(新富町)

旬魚とフカヒレの2本柱で勝負。

修業先を聞けば三田〈御田町 桃の木〉や〈筑紫樓 銀座店〉など有名店ばかり。どちらも4、5年、きっちり勤め、〈筑紫樓〉では副料理長として活躍した。さらに縁あって、独立前に築地の水産仲卸を手伝った時期もある。その全部が湯浅大輔シェフの血肉に。厨房での動きにムダがない。料理はどれも、シンプルで迷いがない。甘味と酸味がぎゅっと凝縮したたれで食べる黒酢の酢豚は芯までしっとり。「器使いは〈桃の木〉で多くを学びました」と、フカヒレ料理を織部焼の器で、という具合。

とりわけ力を入れるのは、旬魚の一品とフカヒレ料理。2キロ大のキジハタを1本、骨付きのまま約1週間寝かせて蒸し物に。フカヒレは前菜にスープ、姿煮と料理に応じて常時3~4種と、わずか20席足らずの店とは思えない仕事が、日々、ワンオペの厨房で繰り広げられている。手間もコストもかかる一皿一皿から、料理人の楽しさがバシバシ伝わってくるのだ。

新富町〈新富町 湯浅〉シェフの湯浅大輔さん
湯浅シェフ。魚の話となると止まらない。
新富町〈新富町 湯浅〉店内
横長の窓が空間のアクセント。新築の物件で、内装もシンプルだが妥協なく作った。

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