天ぷらとワイン しの(西麻布)
衣が薄く軽やかな天ぷらを、選りすぐりのワインと
大きなまな板皿に並べられた季節の野菜や山菜はその数20種ほど。白木の箱には新鮮なエビやアナゴ、ホタテ、稚アユなど旬の魚介がずらりと並ぶ。そこから選んだ素材を一つずつ丁寧に揚げたアラカルトや、ほかの一品料理と組み合わせたコースにも仕立ててくれるのがこちら。
カウンターに立つ篠 彰喜(しの あきひさ)さんは〈山の上ホテル〉や〈東京ベイコート倶楽部〉で和食の腕を磨き、銀座の創作料理店を切り盛りしてきた実力派。天ぷらはワインとの相性を考え、軽さと白さを追求する。揚げ油は太白胡麻油に綿実油をブレンドして香りを控えめに。衣は黄身が白い卵を使用する徹底ぶりだ。
オリジナルの配合でブレンドした自家製の塩は当たりも柔らかく、そばつゆの返しで作る天つゆも雑味がなくまとまりがある味わい。同じ天ぷらが全くの別物と感じられるほどで、和食での確かな経験がものをいう。
「2軒目使いにもどうぞ」と言う、懐の深さもありがたい。