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グルマン温故知新:四谷三丁目〈車力門 おの澤〉とびきりの満足感で魅了する、蕎麦割烹の新星

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回は一つの料理や食材への並々ならぬ愛情で、マニアックな専門店を作り上げてしまったお店。愛の強さ=味わいに比例する!遊び心溢れるメニューを堪能せよ。

Photo: Shinichi Yokoyama / Text: Mamiko Kume

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車力門 おの澤(四谷三丁目)

とびきりの満足感で魅了する、蕎麦割烹の新星。

店主の小野澤誠さんは、蕎麦懐石の名店〈銀座 矢部〉の出身。「おいしい料理を目がけて足を運んでくれるお客様がいる珍しいエリア」と、3年の月日をかけて荒木町に暖簾を掲げた。

季節の素材が似通いがちな和食にあって目を見張るのが仕立ての工夫だ。かつらむきで実をばらし、粉と水をまとわせ一粒一粒をサクッと香ばしく揚げるトウモロコシのかき揚げ。お造りには脂がのった旬のアジを数切れ。親方譲りの骨抜きハモは刺し身と焼き霜造りで目先を変えて。紀州備長炭で丁寧に火入れした真鴨もパンチ力は十分だ。

締めは小野澤さんが「土鍋ご飯に代わる武器になる」と言う手打ちの十割蕎麦。口触りよく滑らかで、喉越しは抜群。つゆのだしに昆布は使わず、本節と荒節、サバ節と宗田節を使い分け、奥深い旨味で余韻を残す。

温かいものは器も温かく、冷たいものは涼感たっぷりに。若き有望株の心配りと熱意に、リピーターが多いのも頷ける。

四谷三丁目〈車力門 おの澤〉店主の小野澤誠さん。
高校時代のアルバイトから和食一筋の小野澤さん。
四谷三丁目〈車力門 おの澤〉店内
網代編みなどの意匠を凝らし、白木のカウンターを採用した純和風の店内。

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