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グルマン温故知新:中野〈関飯店〉発酵調味料でワインに寄せる、夫婦中華

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「町の中華バル」。高級店にも引けを取らない料理を街場の価格とお酒に合うスタイルで。どちらも名店出身で中国料理のシェフを父に持ち、気楽なアラカルトメニューで普段使いできるカジュアル路線をひた走る。オープン間もないながら町にしっかりと根を下ろす、有望株な店。

Photo: Shin-ichi Yokoyama / Text: Mamiko Kume

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関飯店(中野)

発酵調味料でワインに寄せる、夫婦中華。

関達也さんは、新宿のヒルトン東京〈王朝〉出身。妻・亜友美さんの実家で、中野駅北口で50年以上続く洋食店を改装、この店をオープンした。「量が多く、値段もそこそこする中国料理のイメージを払拭して間口を広げたい」と意気込む。

メニューはアラカルトで麺・飯は3品に絞り込み、本日のおすすめや一品料理推し。食材も調味料も引き算でアレンジし、ナチュラルワインを合わせておいしさを完結させるスタイルだ。

例えば定番のエビチリは、トマトを熟成発酵させた紅酸で優しい酸味と深みのある旨味でまとめ、軽やかな仕上がりに。よだれ鶏にしてもオリジナルの醬で香ばしさを狙い、辛味がまろやかな四川だれで食べさせる。

発酵パイナップル醬や新ショウガの泡菜と発酵食品を駆使する料理は塩味が柔らか。素材感が直に伝わり、ワインにもピタリとハマる。一流ホテル仕込みの料理がほぼ¥1,000以下なんて、ミラクルと言っていい。

中野〈関飯店〉オーナーシェフの関達也さん
オーナーシェフの関達也さん。亜友美さんのアシストが冴え渡る。
中野〈関飯店〉店内
洋食店の面影を感じさせる、アットホームな雰囲気の店内。

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