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グルマン温故知新:祖師ヶ谷大蔵〈ベトナムフレンチ ネムクリュ〉「包む」料理とベトナムつまみをカウンターで

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「住宅街のエスニック」。都心の繁華街からやや離れた町に、個性的なエスニック料理店が誕生。各国料理を学んだ日本人シェフの創作ベトナミーズ。活気あふれる街の景色をアップデートする店。

 

Photo: Naoki Tani / Text: Kei Sasaki

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ベトナムフレンチ ネムクリュ(祖師ヶ谷大蔵)

「包む」料理とベトナムつまみをカウンターで。

地上2階にもかかわらず、町と地続きのような雰囲気。大きな窓のおかげか、駅からのアクセスの良さゆえか。個人店が元気な商店街にお目見えした、創作ベトナム料理の新顔である。

店主の柿本将浩さんは、インテリアショップが手がけるエスニック料理店として人気を博した青山〈ロジャック〉(現在は閉店)で5年、ほかイタリアン、フレンチ、寿司店まであらゆる店の厨房を経験した。

独立の際、ベトナム料理を選んだのは「自由度が高いから」。店名はベトナム語で「春巻き」を指す「Nem(ネム)」とフランス語で「生」の意味を持つ「cru(クリュ)」を合わせた造語。

生春巻きよろしく、肉を詰めたヤリイカやもち米を詰めた手羽先など、「包む」がお題の創作料理あり、ブン(米粉の麺)などの現地の味に倣ったベトナム料理あり。地元の年配客からわざわざ足を運ぶエスニック好きまで幅広いゲストを“巻き込み”、小さな店から町を盛り上げる。

祖師ヶ谷大蔵〈ベトナムフレンチ ネムクリュ〉店内
コの字のハイカウンターのみ。昼間は一面の窓から光が差し込む。
祖師ヶ谷大蔵〈ベトナムフレンチ ネムクリュ〉店主の柿本将浩さん。
仕込みから営業中の接客まで、一人でこなす柿本さん。

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