Eat

Eat

食べる

グルマン温故知新:東日本橋〈mille〉選べるアミューズに表れるホスピタリティ

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「自然派ビストロノミー」。フランス修業経験のあるシェフの料理はレストランレベルで、価格設定はデイリーユース。カフェやワイン酒場から広がりを見せたナチュラルワインシーンで、ビストロノミーが勢力拡大中。使い方は自由、食べて飲んで1万円でお釣りが来る良心の店が東京に。

Photo: Naoki Tani / Text: Kei Sasaki

連載一覧へ

mille(東日本橋)

選べるアミューズに表れるホスピタリティ。

町場の実力店や都心の高級店で修業し、フランスでも星付きで働いた千葉稔生さん。2011年の帰国時、東京を席捲していたナチュラルワインブームの洗礼を受け自身の方向性が定まった。繁盛ワイン酒場でシェフを経験し、ガストロ育ちの料理とナチュラルワインを居酒屋感覚で楽しませる店をオープン。黒板に4、5品並ぶアミューズ・ブーシュが挨拶代わり。ビジュアルよし、塩加減よしの一品に、気分がアガり、ワインも進む。

どの皿もシェアOKだが、取り分けは店側で。一人客のハーフポーションはジャスト半額という太っ腹ぶり。とにかく気軽に、でも素材の組み合わせやソースで完成するフレンチの醍醐味をちゃんと味わってほしいからだ。川崎大師の別院・薬研堀不動院そば、六差路に面した物件は“気の流れの良さ”で即決。洋風建築の古いマンションの1階、モダンにしつらえた店から漏れる明かりが、下町の景色の新たな彩りになりつつある。

東日本橋〈mille〉千葉稔生さん
千葉さん。現在はワンオペ営業中。
東日本橋〈mille〉店内
青山〈BEES BAR by NARISAWA〉なども手がけた〈STUDIO DIG.〉が内装をデザイン。

連載一覧へ